No: |
695
進歩性審査基準/特許出願の要件/阻害要因・正反対の性質1 |
体系 |
実体法 |
用語 |
阻害要因のケーススタディ(正反対の性質)1 |
意味 |
阻害要因とは、当業者が引用発明から特許出願に係る発明へ到ることを妨げる要因をいいますが、その類型の一つとして、特許出願の発明への改変が引用発明の目的に反する場合があります。そうした事例をケーススタディします。
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内容 |
①事例1
〔事件番号〕
平成22年(行ケ)第10345号
〔発明の名称〕
圧力波機械付きの内燃機関
〔本件特許出願の内容〕
〔構成〕
触媒と圧力波装置との間に加熱装置(C)があって排気ガスを加熱するもの。
〔効果〕
コールドスタート特性の改善
〔先行技術の内容〕
副引用例の排気冷却中間加熱器は、排気路の下流から熱をとって上流へ戻す熱交換機であり、過給機に流入する排気を冷却するものである。
〔改変の内容〕
副引用例の排気冷却中間加熱器を主引用例の触媒と圧力波装置との間に挿入する。
〔正反対の性質〕
副引用例は、排気路の下流から上流へ熱を放出するものであり、(局部的に熱放出機であっても)システム全体として外部に熱を放出するものでないばかりか、全体としては加熱ではなく、システムの冷却手段の一部である。
〔裁判所の判断〕
副引用例の排気冷却中間加熱器は,2段式給気を行う機関の排気系で排気間の熱交換を行う。排気を外部の熱源等により加熱するものではなく,むしろ圧力波機械を高圧圧縮段用に配置した場合には圧力波機械の仕事能力を低下させるから,本件発明の加熱装置とは,構成も機能及び作用も異なる。…むしろ排気冷却中間加熱器は,熱交換により高圧圧縮段の過給機に入る排気を冷却するから,(本件特許出願の如く)圧力波機械に流入する排気を加熱する構成を採用する上では阻害要因がある。
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留意点 |
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