体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
特許明細書 |
意義 |
特許明細書とは、一般に特許権の権利書として権利情報及び技術情報を記載した書面をいいます。
|
内容 |
@特許明細書の意義
(a)現在の特許法の用語としては特許出願の願書の添付書類として、「特許請求の範囲」や「図面」などとともに「明細書」があるという位置づけでしたが、昔(平成6年改正前)は、明細書は特許請求の範囲を含む広い概念として用いられていました。ここでは、後者の意味合いでかつ特許後のものを“特許明細書”と呼ぶことにします。
(a)特許明細書の機能(意義)は、特許権の範囲を世間の人(特に競業者)に対して明確に示す権利書的機能、及び、特許出願人が開示した発明を社会に伝える技術文献的機能となることです。
A特許明細書の内容
(a)特許明細書の内容のうちで前述の2つの機能を担う項目を挙げると、下記の通りですが、その内容をより良く理解するためには特許明細書全体を見ることが必要です。
権利書的機能→特許請求の範囲の各請求項
技術文献的意義→明細書の“発明の概要”や“発明を実施するための最良の形態”
(b)特許請求の範囲は、請求項単位で特許権の内容を確定するものですが、記載した事柄の技術的意義が不明である場合(例えば一般的でない技術の内容を過度に抽象的な機能として表現している場合)には、明細書の実施形態を参考として限定解釈せざるを得ないことがあります。
→特許明細書の読み方(権利情報として)
(c)逆に技術情報として発明の実施形態の欄などを利用する場合、この欄に掲げられた発明の形態のみに拘り過ぎると、特許出願人が開示した本来の発明の範囲からズレて、技術内容を解釈してしまうリスクがあります。
例えば他人の特許明細書の実施形態の欄に要件a+b+cからなる発明が記載されており、その要件をc→c’に変更する創作を自己の発明として特許出願できるかを考えます。3つのケースが考えられます。
(i)他人の特許明細書に記載された発明の単なる設計変更に過ぎないとして、特許出願を拒絶される。
(ii)単なる設計変更の域を脱しており、進歩性はあるので特許するけれども、他人の特許発明を利用するものとして、発明の実施に他人の同意を要する。
→他人の特許発明等との利用関係とは
(iii)設計変更ではなく、利用関係も成り立たないので、自己の特許出願に対して権利が付与されれば、他人の意向に左右されずに実施できる。
どの事例に該当するのかは、他人の特許明細書の請求項に記載された発明の構成と、発明の目的(課題)及び効果との兼ね合いから判断されます。
→特許明細書の読み方(技術情報として)
|
留意点 |
|
次ページ
※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 |
|