No: |
753 不争義務/ライセンス契約/特許出願/特許調査 |
体系 |
権利内容 |
用語 |
不争義務 |
意味 |
不争義務とは、ライセンサーがライセンシーに対して、ライセンス技術に係る権利の有効性について争わない義務をいいます。
|
内容 |
@不争義務の意義
不争義務の条項は、当事者同士の約束事です。特許庁や裁判所を拘束するものではありません。不争条項に反して、無効審判が請求されても、そのことを理由として、請求が認められないということはありません。
不争義務条項は、外国の"non-contest" clauseの概念と同義です。 →"Non-contest"
clause(不争義務条項)とは
A不争義務の内容
(a)一般に発明の実施である事業をしているものが、他人の特許権の侵害であると警告を受けた場合には、
(イ)他人の特許権の無効理由(例えば他人の特許出願の時点で新規性・進歩性を欠いていたという理由)を探して無効審判を請求する、
(ロ)無効理由がないときには、他人との間でライセンス契約を結ぶ)
という対応策が考えられます。
しかしながら、限られた時間の中で特許調査をするために調査範囲に限りがあり、ライセンス契約が見つかった後に特許出願時に同一の技術が存在していた証拠が出てきてしまう場合があります。ライセンシーとしては、特許無効審判を請求してロイヤリティの支払いを免れたい、と思うのが当然ですが、逆にライセンサー(特許権者)の立場としては、ライセンス契約後に特許の有効性を巡る争いが生ずるのは避けたいところです。
そこでライセンサーの思惑により、ライセンス契約(案)に不争条項が盛り込まれることがあります。
ライセンシーとしては、これは不利な条件ですので、可能であればライセンス契約(案)からの削除を求めたいところです。採用されるかどうかは、結局のところ両者の力関係で決まります。
(b)不争義務条項は、ライセンシーが実施権を受けようとする発明が対象です。その発明の範囲を超えてライセンサーの保有する特許権全ての有効性を争うことを禁止する義務を課す条項は、非係争義務条項に相当します。
→非係争義務とは(改良発明・利用発明に関する)
(c)日本の独占禁止法では、不争義務条項については「不公正な取引方法に該当する場合もある」というという立場をとっています。“円滑な技術取引を通じ競争の促進に資する面”が認められるからです(出典:知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針)。
|
留意点 |
|
次ページ
※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 |
|