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758 サブマリン特許/特許出願/特許侵害 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
サブマリン特許 |
意味 |
サブマリン特許とは、特許出願人の意図により権利の成立及び権利内容の公開が著しく遅れた特許を言います。
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内容 |
①サブマリン特許の意義
(a)かつての米国では、特許権の存続期間は特許の発行の日から17年間と定められており、特許出願の審査に長時間を要しても、その期間は同じでした。このことを利用して、一部の発明者は、継続出願や分割出願などのような特殊な特許出願を繰り返し、意図的に特許の時期を何年も遅らせることがありました。特許出願の対象である技術が社会に広く実施されるようになってから、特許になると、多くの事業者からロイヤリティ収入を得ることが期待できるからです。
(b)そしてかつてのアメリカ特許法では、特許出願の内容は特許が付与されるまでは秘密であったため、こうした特許出願人の攻勢は、多くの事業者にとって不意打ちとなり易く、潜水艦になぞらえてサブマリン特許と呼ばれました。
②サブマリン特許に対する行政の対応
(a)1995年のTRIPs協定の加入により、特許権の存続期間は特許出願の日(継続出願や分割出願の場合には元の特許出願の日)から20年と定められました。
従って、サブマリン特許を狙って特許出願人が手続を遅延させるメリットは、殆どなくなっています。
もっともそれ以前に特許出願がされた案件について、今後サブマリン特許が成立する可能性はあります。
(b)また現在では、アメリカにおいても、特許出願の審査の進行状況と切り離して早期に特許出願の内容を公開する制度が採用されていますので、不意打ち的な攻撃を受ける可能性は少ないと考えられます。
③サブマリン特許に対する司法の対応
有名なサブマリン特許としてLemelson特許があり、特許出願人である発明者及び相続人は、多額のロイヤリティ収入を得ていましたが、2004年に裁判所は当該特許が実行不能(unenforceable)であると判示されました。控訴裁判所(Court
of
Appeal)は、2005年に地方裁判所の判断を支持しました。特許出願の処理において“非合理的に長期の…遅れ”(unreasonably
long … delay)があり、懈怠の原則が適用されるからです。 →懈怠の原則(Doctrine
of Latches)とは
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留意点 |
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