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759 バイドール法/特許出願/特許の活用 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
バイドール法(Bayh-Dole Act) |
意味 |
バイドール法とは、米国において、政府資金による研究開発の成果を特許出願して得られた権利を、資金の受託者に帰属させることを内容とする法律です。
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内容 |
@バイドール法の意義
(a)バイドール法は、1970年代の米国経済の停滞を背景にして生まれました。
(b)同法の成立前は、政府資金を受託して研究開発を行った者が特許出願して権利を得ても、その権利は政府に譲渡しなければなりませんでした。
(c)そのため、経済面での特許の活用は、十分ではなく、それまでに政府が取得した特許のうちでライセンス契約に至ったのは5%以下であったといいます。
(d)バイドール法が成立することにより、政府資金を得て研究開発を行う大学などが特許出願を活発に行うことになり、特に経済活動で使える技術の特許出願が増えていきました。
Aバイドール法の内容
(a)同法は、所轄官庁(Department of
Commerce)に標準的特許権条項を定める権限を与えています。
(b)この条項に合意することにより、政府資金を受託して研究開発となった者は、発明の名義人としての資格(特許出願をする権利を含む)を自分に残すことができます。
・その条項によれば、政府資金の受託した者は、技術開発の成果である発明の主題を、資金提供者である官庁に報告し、そして発明の名義を自分に残すか否かを選択しなければなりません。
・名義を自分に残すことを選択した者は、選択したときから1年以内に最初の特許出願をしなければなりません。
・また、その特許出願の継続を停止し、或いは特許を失効させようとするときには、事前に報告しなければなりません。
(c)政府は、その発明の主題に関して、米国内外を問わずに非排他的な実施権を取得します。
Bバイドール法に対する各国の対応
(a)バイドール法は優れた制度であり、各国も積極的に同様のシステムを採用しました。
(b)日本でも日本版バイドール法というべき、産業活力再生特別措置法第30条(後に産業技術強化法へ移管)が採用され、大学などの研究機関の特許出願を奨励しています。
→産業技術強化法とは
民間企業と大学などの研究機関とが共同して研究開発・特許出願を行うことも奨励されています。市場でのニーズ(課題)に応えようと模索する民間企業と、そのニーズに応え得る先端技術を保有する大学などを結び付け、産学連携によりオープンイノベーションを進展させるためです。
→オープンイノベーションとは
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