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 パテントに関する専門用語
  

 No:  761   

ハブメイド権/特許の活用/特許出願

 
体系 ビジネス用語
用語

ハブメイド権("Have-made” Right)

意味  ハブメイド権とは、米国において、発明品の下請け製造を行う権利をいいます。


内容 @ハブメイド権の意義

 ライセンス契約では、ある発明の実施許諾を受けた者が第三者に対して当該発明の実施許諾をすることをサブライセンスといいますが、それと類似の概念としてハブメイド権があります。
再実施許諾(サブライセンス)とは

 サブライセンスを受けた第三者は、独立の事業者であって製造物(実施品)を誰に売っても構わないのに対して、ハブメイド権を有する者は、権利を設定した者の下請け業者として発明品の製造を委託されるに過ぎません。

 最初に実施許諾を受けたライセンサーとしては、発明の実施により利益をあげることに関心があるのであって、誰が実施するのかは問題ではありません。そうすると、特許活用の手段として、自ら実施するよりも、実施能力の高い下請け業者に実施を委託したいと考えるのは、自然の成り行きであります。

Aハブメイド権の内容

 米国において、ハブメイド権に関して明記していないライセンス契約のライセンシーが第三者に対してハブラメイド権を許諾することができるのかどうかが争われた事例を紹介します。

〔事件番号〕Corebrace L.LC v. Star Seismic LLC事件(2009年)

〔事件の経緯〕

(a)サイセンス契約では、ライセンシーの親会社・子会社・関連会社以外の者へのサブライセンスを認めない旨を規定していたが、ハブメイド権に関しては何ら規定していなかった。

(b)ライセンシーは、第三者に特許製品の下請け製造を行わせた。

(c)ライセンサーは、この事実を契約違反ととらえて、契約解除及び特許侵害を主張してライセンシーに対して訴えを提起した。

〔裁判所の判断〕

 特許製品の製造・使用・販売の許諾は、実施権者自身による製造・使用・販売に限定されるものではなく、実施権者が特許品の製造・使用・販売において実施権者を補助する他人を雇うことを認めるものである。

 必ずしも実施権者自身が特許製品の製造を担う必要はない。実施権者として特許製品の使用・販売にだけ関心がある場合があるからである。

 そうした場合には、(実施権者自身の)使用・販売のために当該特許製品が製造されなければならない。

 (その範囲で)前記実施許諾は、その特許製品の製造に関する業務を第三者に委託することができる。

B日本での取り扱い

 日本の特許法は「特許権の共有にかかるときには、各共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又他人に通常実施権を許諾することができない。」旨を定めています(特許法第73条)。

 これは、共同で特許出願を行い、自ら共有者となった者同士では特別の信頼関係がある筈であり、実施者の実施能力如何で他の持分権者の事業に大きな影響を与える特許権の共有関係で一人の共有者が勝手に実施権を設定・許諾することは、前記信頼関係を阻害するからです。

 そうした事情の下で実用新案権の共有者が下請け業者と請負契約を締結して実施をさせる行為は、他の共有者の持分の権利侵害にならないという判断が示された事例があります。第三者は共有者の共有者の一機関に過ぎないからです。
昭和47年(ネ)第20号〔蹄鉄事件〕
→ハブメイド権と一機関(手足論)


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