体系 |
実体法 |
用語 |
用途発明のケーススタディ1(用途発明と未完成発明) |
意義 |
用途発明は、或る物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見い出すことに基づく発明です(進歩性審査基準)。
用途発明の特許出願に対して特許法第29条の2(拡大された先願の地位)又は特許法第39条(先願主義)を適用するときには引用発明も用途発明でなければなりませんが、用途に関してどの程度の開示があったときに用途発明であるのかを解説します。
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内容 |
事例1
事件番号:平成10年(行ケ)第401号
事件の種類:拒絶審決取消訴訟(拡大された先願の地位による拒絶)
事件の論点:引用発明が用途発明として完成されているか否か。
本件発明の名称:即席冷凍麺類用穀紛
〔本件発明の内容〕
「タピオカ澱粉12~50重量%と穀粉類88~50重量%とからなる即席冷凍麺類用穀粉。」(請求の範囲)
〔引用発明の内容〕
“タピオカ澱粉5~30重量%と穀粉95~70重量%とを配合した製麺原料粉を真空度約600mmHg以下の減圧環境下で加水混練し、常法どおり製麺することにより生うどんを製造”し、通常の小麦粉100%使用の麺と品質を比較した。小麦粉100%使用の麺を基準としその評価点を「3」として対比した場合に、「滑らかさ1.1」、「粘性1.7」、「弾力性1.0」及び「煮崩れ状態1.0」であった。
〔裁判所の判断〕
先願明細書には、タピオカ澱粉を特定割合で他の穀粉類と配合して即席冷凍麺類用穀粉として使用した場合に従来技術以下の効果を奏することしか開示されていないことになる。
その効果が従来技術以下であるにすぎないものとすれば、先願明細書の記載において、タピオカ澱粉が、その特定の属性により即席冷凍麺類用穀粉という新たな用途への使用に適することは未だ見いだされていないといわざるを得ず、先願発明が、用途発明として完成しているということはできない。
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留意点 |
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