内容 |
@証拠の意義
(a)裁判においては、当事者の主張する事実を確認することが不可欠ですが、そのために裁判所は証拠確定主義を採用しています(→証拠裁判主義とは)。
(b)例えば冒認者による特許出願(いわゆる冒認出願)の問題であって、当事者同士が特許出願に係る発明の真の発明者が誰かを知り尽くしているときでも、裁判官に対しては証拠を以て事実関係を確信させなければならないのです。
(c)証拠には、証明しようとする事実を直接的に示す直接証拠と、間接的に示すに過ぎない間接証拠とがあります。
(d)証拠には、大よそ次の意味があります。
(イ)裁判官が取り調べることが取り調べることが有形物という意味(→証拠方法とは)
(ロ)取り調べの結果として得られた無形の資料という意味(→証拠資料)
(ハ)裁判所が取り調べの結果として確信した原因という意味(→証拠原因)
A証拠の内容
(a)証拠資料にせよ、証拠原因にせよ、証拠方法が存在してはじめてこれらを認定できるのでから、法律関係を主張するときには、有形物である証拠方法の確保が重要です。
(b)例えば先使用権を主張するときには、先使用権の発生要件(特許出願日前から自らは発明し、或いは自ら発明した者から知得して特許発明の実施である事業又は事業の準備をしていたこと)を立証する必要があります(→先使用権の立証)。
しかしながら、他人の特許出願から十数年も立つと、誰から発明を知得したのか、何時から実施していたのか(他人の特許出願の前か後か)がわかなくなってしまう可能性があります。証拠方法の所在が明らかなうちに確保・保存しておくことが重要です。
(c)特許出願の要件(新規性・進歩性)では、各国特許庁が発行する公報などの特許文献の他に、書籍などの非特許文献がありますが、後者の場合に時を経ることで入手困難になる可能性があります。
他人の特許権の攻撃に備えて、他人の特許出願前の刊行物を用意して無効審判の準備をしておくことがありますが、その場合には、無効の主張の根拠となる証拠方法を確実に残しておく必要があります。
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