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@証拠資料の意義
(a)証拠資料とは、事実を認識するための資料であり、裁判官が証拠調べにより証拠方法から得た内容をいい、証人の証言や書証の記載内容のことを指します。
(b)例えば特許出願の発明の進歩性を否定するために、当該特許出願前に頒布された刊行物を提出する場合において、当該刊行物の記載内容が証拠資料です。
これに対して刊行物そのものは証拠方法といいます(→証拠方法とは)。
A証拠資料の内容
(a)有形物である証拠方法と証拠方法を取り調べて得られる証拠資料とは区別されなければなりません。
(b)これは換言すると、当事者の一方、例えば特許出願人が自分に有利な結果を導くための証拠、すなわち特許出願が特許査定されるための証拠として提出した証拠方法であっても、逆の結論に使われる可能性があることを意味します。
(c)例えば「気体レーザ放電装置」事件では、スレーザ放電装置の放電管部の材料としてセラミックの一種である酸化ベリリウムを用いることが特許出願時に困難であることを示す刊行物(特許出願後に頒布されたもの)を証拠方法として提出しました。
高等裁判所は、
・前記刊行物には“セラミツクスは熱衝撃に弱いからバルク状のセラミツクスをレーザに利用しようとする研究においては、この難点を解決しなければならない”旨の記載はある、
・しかし、酸化ベリリウムと熱衝撃抵抗との関係についての記載は見あたない、
・むしろ、アルゴンレーザの放電に用いられたか、あるいは利用できるだろうセラミツク材料として酸化ベリリウムが挙げられていることを認めることができる、
と認定しました。 →進歩性の時期的基準のケーススタディ1
B証拠資料に関する注意点
(c)特許法では法律要件の中に時期的要件を含むことがよくあります。例えば特許出願の新規性・進歩性の場合には「特許出願前に頒布…」)、先使用権の場合には「他人の特許出願前に自ら発明して…」の如くです。
刊行物の裏表紙に記載された頒布された日付けも証拠資料の一部として裁判所が認定できる形で証拠に残す必要があります。
裏表紙に「19XX.1」のように記載されていたときに、これが“19XX年1月”を意味するのか、“19XX年1号”を意味するのかが裁判で争われた事例もあります。
そういうことを回避するために、当該刊行物がいつ発刊されたのかを示す間接証拠を残すのとが望まれます(→間接証拠とは)。
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