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837 法律要件分類説/特許出願/進歩性/専用実施権 |
体系 |
実体法 |
用語 |
法律要件分類説とは(要件事実論の) |
意味 |
法律要件分類説とは、法律要件の立証責任の分配する基準につき、条文の構造等を基礎にしつつも各条文固有の事情(立証の難易による公平性など)に応じて修正を認める見解です。
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内容 |
①法律要件分類説の意義
(a)特許法上の審判制度(特許出願の拒絶査定に対する不服審判・特許無効審判・訂正審判など)は職権主義によりますが、審決取消取消訴訟には弁論主義が適用されるため、各規定の要件に関して誰が立証責任を負うのかということが問題となります(→立証責任の分配)。
(b)例えば特許法103条は特許侵害をして者は過失がある旨を定めていますが(→立証責任の転換)、大抵の条文は立証責任に言及していないので、条文毎に立証責任を判断しなければなりません。
(c)法律要件分類説は、立証責任の分配基準に関する通説です。
(d)法律要件分類説の骨子は、
(イ)法律要件を定める条文の構造を着目し、
(ロ)構造に応じて条文を権利根拠規定・権利消滅規定・権利障害規定に分類し、
(ハ)当該条文がどれに分類にされるかに応じて立証責任の分配を決定するが、
(ニ)公平性等の観点から必要があるときに修正する、というものです。
②法律要件分類説の内容
(a)条文の構造の具体例を示します。
(イ)“除き”型
特許法第29条第1項のうち権利の根拠となる部分(産業上利用できる発明をした者はその発明について特許を受けることができる)に対して、“除き”という文言を用いて、権利の発生の障害条件である新規性を定めた部分(特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明…)を規定した構造が該当します。
(ロ)“○項の規定にかかわらず”型
権利の根拠となる特許法第29条第1項に対して、“同(前)項に規定にかかわらず”という文言を用いて権利の障害条件である進歩性を定めた第2項(特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基づいて容易に発明できたときには、その発明については、特許を受けることができない)を規定した構造が該当します。
(ハ)但書き型
特許権の行使の根拠となる特許法第68条本文(特許権者は業として特許発明の実施をする権利を専有する)に対して、権利障害要件である同条但書き(その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明を実施する権利を専有する範囲については、この限りではない)を規定した構造が該当します。
(b)法律要件分類説による原則的な対応は次の通りです。
(イ)他人に対して一定の権利を主張する者は、権利の発生要件を定めた権利根拠規定の法律要件について立証責任を負う。
(ロ)その権利の発生に対する障害を主張する者は、権利発生の障害要件を定めた権利障害規定の法律要件について立証責任を負う。
(ハ)その権利の行使を一時的に阻止することを主張する者は、権利行使を一時的に阻止する要件を定めた権利阻止規定の法律要件について立証責任を負う。
(ニ)その権利の消滅を主張する者は、権利の消滅要件を定めた権利滅却規定の法律要件について立証責任を負う。
(d)但し、特許無効理由のうちいわゆる冒認出願(真の発明者及びその承継人以外の者による特許出願)に関しては、事情が異なると判断された事例があります。
真の発明者等による特許出願であるか否かを一番知っている筈に特許権者が事実関係に関して一切説明せず、特許無効審判人による立証に反論するだけで、無効審決を免れるとすると公平性を損なうからです。
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