No: |
864 公定力/特許出願/進歩性/キルビー判決 |
体系 |
行政行為 |
用語 |
公定力とは(行政処分の) |
意味 |
公定力とは、行政処分の性質の一つであって、たとえ当該行為が違法に成立したものであっても、無効と認められるものでない限り、行政機関や裁判所により取り消されるまでは一応有効なものとして扱われるという性質です。
|
内容 |
@公定力の意義
(a)特許出願人の独占排他権の付与請求の意思表示としせいて与えられる特許の処分は行政処分であり、行政行為として所定の性質を有します。
→行政行為の性質
(b)行政処分の性質の一つであり、当該行為が違法に成立したものであっても、当然に無効と認められるものでない限り、行政機関や裁判所により取り消されるまでは一応有効なものとして扱われます。
→当然無効とは
(c)一応有効であるとは、その効力が第三者にも及ぶということです。すなわち相手方を拘束することは当然として、裁判所や行政庁(処分庁に限らない)その効力を承認しなければならないことを言います。
(d)公定力は解除条件付の確定力(処分の適否を問わず取り消されるまでは相手方を拘束する自力執行性)であると説明することができます。
A公定力の意義
(a)特許権は、特許出願された発明が特許の要件を具備しているか否かの審査を経て、行政処分である特許査定がされて特許原簿に登録されることによって権利として成立します。
(b)そして一旦特許原簿に登録されると、無効事由が含まれるような特許権であっても、特許無効審判に対する無効審決や、審決取消訴訟を経ない限り、効力を有することになります(公定力の作用)。
(c)すなわち、裁判所は、特許無効審判の審決を経ずに、この特許は無効である旨を宣言するような判決(形成判決)を出すことができません。
例えば裁判において、特許出願に公知の発明1及び発明2を組み合わせると特許発明となるので進歩性がないという理由により、前述のような判決が出され、それが別の裁判にまで波及するとなると法的安定性が害されるからです。
(d)もっとも特許の無効を宣言することはともかく、明白な無効理由を根拠とする抗弁を認めて原告の訴えを退けることはできないわけではないとと解釈されます。それならば他の裁判に影響することもないからです。
いわゆるキルビー判決では、特許の元になっていた特許出願が分割の条件を満たしていないために、出願の遡及効が認められず無効であることが明白であるとして、特許権者の請求が退けられました。
→公定力のケーススタディ1
(E)この事件を背景として、無効審判などにより無効にされるべきものと認められる特許に基づく特許行使を禁ずる旨の規定が作られました(特許法第104条の3)。
|
留意点 |
|
次ページ
※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 |
|