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@拘束力の意義
(a)行政行為が一応有効にされると、相手方はこれに不服があっても、その取消があるまでは行政行為に拘束され、行政庁も、当該行政行為を違法又は不当と認めても、これを取り消さない限り、その内容に拘束されます。
(b)拘束力と類似の概念として公定力があります。
しかしながら、拘束力は、行政行為の内容的な効力を指す概念であるのに対して、公定力が行政行為の形式的な効力です。
前者は行政処分中の具体的内容(例えば無効審判などの当事者系審判の敗者側が審判の費用として所定の費用を支払え)に拘束されることを意味するのに対して、後者は行政処分そのものが取消があるまで有効に扱われるということを意味するからです。
→公定力とは
A拘束力の内容
(a)当事者を拘束する行政処分の例として、特許無効審判における“特許第○○○号を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。”問いう審決のうちの費用の部分が該当します。費用の額の決定は執行力のある債務名義と同一の効力を有するものだからです。
(b)行政機関を拘束する行政処分の例として特許出願の拒絶査定不服審判に対して原査定をするとともに差し戻し審決をする場合が該当します。この審決における判断な審査官を拘束するからです。
(c)特許発明の技術的範囲に関しては判定を請求することができますが(特許法第70条)、この判定は、拘束力を有しない鑑定的なものと解釈されています。この判定は、旧特許法の確認審判を前身とするものですが、この確認審判に関しては、当事者のみならず、第三者にも拘束力が及ぶという考え方、当事者のみに拘束力が及ぶという考え方、一種の鑑定に過ぎず、拘束力を有しないという考え方が存在し、この制度の意義が不明確となっていました。そこで判定制度が採用されました。
→拘束力とは(取消判決の)
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