体系 |
権利内容 |
用語 |
三面訴訟 |
意味 |
三面訴訟とは、3者以上の当事者が互いに対立する構造の訴訟を言います。
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内容 |
@三面訴訟の意義
(a)民事訴訟は、二人の対立する当事者が主張をぶつけ合い、どちらの主張が相対的に正しいのかを判定することを原則とします。この原則に従い、原告と被告とが対立する裁判の構造を、当事者対立構造と言います(→当事者対立構造とは)。
(b)しかしながら、現実の紛争では独立した3者が相互に主張を対立させて三つ巴の争いになることがあります。こうした訴訟形態を理論上三面訴訟と言います。
(c)三面訴訟に対応するために、民事訴訟法では独立当事者参加が認められています(→独立当事者参加とは)。
A三面訴訟の内容
(a)例えばある企業に勤務していた研究者甲から特許を受ける権利を譲り受けた乙が特許出願して取得した特許権に関して、職務発明の存在を巡って次のような争いになる可能性があります。
原告…甲の現在(特許出願時点)の勤務先企業丙
被告…特許権乙(或いは甲及び乙)
独立当事者参加人…甲の過去の勤務先企業丁
独立当事者参加人丁の主張(職務発明は甲が丁に在職中に完成した)が正しいとすれば、原告丙の主張(職務発明は甲が丙に在職中に完成した)は成り立たなくなりますので、丙としては、甲だけでなく、丁とも争わなければならなくなります。
→三面訴訟のケーススタディ
(b)なお、平成27年改正の特許法によれば、職務発明に関しては従業者等(発明者)が予め特許を受ける権利を使用者等に取得させる旨を契約・勤務規則等で定めておけば、特許を受ける権利ははじめから使用者等に帰属されることになっています。“予約承継”ではなく、“はじめから使用者等に帰属される”ので、仮に発明者から特許を受ける権利を譲り受ける旨の契約をした第三者が特許出願をしても、冒認出願にしかならず(→冒認出願とは)、前述のような問題は起こりません。
(c)三つ巴の争いと言っても関係者は3者とは限りません。前述の事例の如く、甲及び乙に対して丙が争っているところに、さらに独立参加人丁が割って入ることもあるからです。
(d三面訴訟は、3者間の法律関係を合一に確定させるべきものであるから、各人の請求について一個の終局判決がなされるべきであり(→終局判決とは)、3つの請求のうちの特定の一つに関してだけ判決をすることは許されません。従って3者のうちの2者のみでの和解などは認められません。
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