体系 |
実体法 |
用語 |
文献公知の発明(新規性) |
意味 |
いわゆる文献公知の発明とは、頒布された刊行物に記載され、或いは、電気通信回線を通じて公衆に利用可能になった発明を言います。発明特許出願前に日本国内又は外国において文献公知の発明となったときには、新規性を喪失します。
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内容 |
@「頒布」とは、不特定多数の人が見得る状態に置くことを言います。刊行物が目的地へ配送中である間は、新規性を喪失しません。
A「刊行物」とは、公開を目的として複製された文書・写真等の情報伝達手段をいいます。例えば公開を目的としない訴訟記に記載されても、新規性を喪失しません。
B「記載された」とは、当業者が容易に実施できる程度の記載を言います。例えば物の新規な構造が記載されていれも、その構造をどのように製造できるかを記載しておらず、かつ技術常識を以て理解できなければ、新規性を喪失しません。
→新規性の要件としての“記載された”の意義
C新規性の判断時は、分割出願・変更出願では原出願の時、優先権主張出願の場合は国内優先権又はパリ条約優先権の主張の基礎の特許出願の時なので、文献公知となった後に分割出願等をしても新規性を喪失しません。
新規性の判断時は、時分までも問題とします。外国で頒布された刊行物に関しては、日本時間に換算して判断します。
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留意点 |
上述の「記載された」とは、直接記載された事項のみならず、“記載されたに等しい事項”も含みます。新規性・進歩性の審査基準によれば、例えば実際に記載されていなくても、技術常識を参酌すると一般の当業者が了知しうる技術思想も刊行物に記載したものとなります{昭和56(行ケ)93}。
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