[判決言い渡し日] |
2000年6月30日 |
[発明の名称] |
金型温度制御方法 |
[主要論点] |
進歩性判断における先行技術文献中の事柄の組み合わせの容易性の判定(TSMテスト)。後知恵 |
[判例の要点] |
進歩性の判断において、特許出願/特許に係る発明が古い技術の組み合わせか否かを判断する際には、発明の各要素が先行技術に存在するだけでは足りず、その組み合わせが好ましいことの動機付け・示唆・教示が存在する必要があります(※1)。それら動機付け・示唆・教示は、明示的なものに限らず、暗示的に開示されていても足りますが、どちらによるにしても実質的な証拠が必要です。 暗示的開示(implicit finding)のテストは、教示・当業者の通常の知識・問題の特性の組み合わせによって解決されるべき事柄が全体として通常の知識を有する者に示唆されているかどうかの問題です。 (※1)…後のKSR判決により修正を受ける箇所です。 |
[本件へのあてはめ] |
本件特許は、インジェクション成形用の金型を外側から冷却する複数の冷媒通路の複数の制御弁の開閉のタイミングを金型に設置した単一のセンサで調整して金型温度を制御する方法であるところ、審判部が認定した如く先行技術文献に記載された金型の温度を測定するsystemが単一のセンサを単一のセンサを意味すると解釈するべき証拠はありません。 “実質的な証拠”は、ある事実を裏付ける一かけらの証拠(scintilla of evidence)があれば足りるものですが、“one system”が“one sensor”を意味することを示す一かけらの証拠もありません。 従ってこの事実認定に基づく審判部の判断は取り消さざるを得ません。 |
[先の関連判決] |
642 F.2d 413 In re Keller {TSMテストの示唆は暗示的で足りる} |
[後の関連判決] |
550 U.S.127 (いわゆるKSR判決) {TSMテストの運用の緩和} |
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