[判決言い渡し日] |
1971年2月25日 |
[発明の名称] |
刺繍された転写物及び作製方法 |
[主要論点] |
進歩性の判断に於いて、予期せぬ発明の効果の参酌により、先行技術による示唆(間接的な示唆を含む)の範囲を超えると認められた事例。 |
[判例の要点] |
(a)自明性(進歩性の否定)の根拠となる発明の示唆は暗示的なものでも構いませんが、特許出願の発明のどの構成要素が引用文献の何に対応するのかを見極め、事後分析(後知恵)的に特許出願を拒絶しないように注意するべきです。 |
[本件へのあてはめ] |
異なる糸を用いた多色の刺繍エンブレムと類似の構造を、単色の刺繍に転写プリントで複数色を後付けするという手法で簡易かつ廉価に実現した特許出願人のアイィデアは、予期せぬ発明の効果を発揮するものと認められます。商業的成功の事実もこれを裏付けます。 審判部は、特許出願人がプリント技術を滑らかな面(布製のサブストレート)の代わりに粗い面(刺繍)に適用しただけに過ぎない、と判断しましたが、これはサブストレートと刺繍とを混同した見解です。 特許出願人の発明は3つの要素(サブストレート+刺繍+転写プリント)からなるので、(置き換えを前提とした)審判部の論理付けは採用できません。 発明の示唆は明示的・暗示的の何れでも構わないが、(3つの要素を区別して考えると)暗示的にも刺繍に転写プリントを施す先行技術は示されていません。刺繍付きの布製品の刺繍の無い部分に転写プリントを示す引用例があるに過ぎないからです。 |
[先の関連判決] |
438 F.2d 999 (In re Application of SHECKLER) |
[後の関連判決] |
730 F.2d 1452 (特許侵害事件/容認) |
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