●第1章 自他商品識別力 |
平成13年(ワ)第9153号 巨峰事件(巨峰の普通名称化) |
商標類似の概念全般 |
昭39(行ツ)110号「しようざん」事件(NEW11/21) |
●第2章 商標の類否 |
観念類似 |
平成22年(行ケ)第10152号 名奉行金さん事件 |
●平成13年(ワ)第9153号 巨峰事件(巨峰の普通名称化)
[判決言い渡し日] |
平成14年6月4日 |
[商標] |
巨峰 |
[商品] |
ブドウ |
[主要論点] |
商標管理されている登録商標の普通名称化 |
[判例の要点] |
一般に登録商標が普通名称化している事実を示す証拠が多数存在するときには、当該商標が登録商標であることを記載した書面数点があり、商標権者が当該登録商標から使用料を得ていても、普通名称化していると認定できる。 認定できる。 |
[本件へのあてはめ] |
多数の書物、統計、新聞の市場欄などにおいて「巨峰」という語がブドウの一品種を表すことに関する名称として用いられているので、当該商標が登録商標であることを記載した書面数点があり、商標権者が当該登録商標から使用料を得ていても、普通名称化していると認定する。 |
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[後の関連判決] |
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[判決言い渡し日] |
平成23年2月28日 |
[商標] |
名奉行金さん |
[商品] |
遊戯用器具 |
[主要論点] |
観念類似の判断における取引の実情(需要者の解釈) |
[判例の要点] |
商品の類否判断は、広く取引者・需要者になる者の一般の注意力を基準として判断するべきですが、その「需要者」は必ずしも商品の購入者には限られません。 |
[本件へのあてはめ] |
本件の遊戯用器具(パチンコ器具等)を競技場営業者が購入する際には、競技者の嗜好や人気が大きく影響するので、判断主体である「取引者・需要者」には競技者も含まれ、その注意力を基準とすれば、無効審判を請求された「名奉行金さん」と登録商標「遠山の金さん」とは「名奉行として知られている遠山金四郎」という観念が生ずる点で類似します。 |
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[判決言い渡し日] |
昭和43年 2月27日 |
[商標] |
氷山の図形+「氷山印」の文字 |
[商品] |
硝子繊維糸 |
[主要論点] |
外観・称呼・観念の一つが近似し、残りが大きく異なる商標の類否の判断 |
[判例の要点] |
①商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきです。 ②出所混同の判断においては、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察するべきです。 ③その際には、その商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とします。 |
[本件へのあてはめ] |
①硝子繊維糸の現実の取引では商標の称呼のみによって商標を識別し、ひいて商品の出所を知り品質を認識することはほとんど行なわれません。 ②このような指定商品に係る商標については、称呼の対比考察を比較的緩かに解することを失当ということはできません。 ③商標の称呼の類似から商品の出所の混同を生ずるというような一般取引における経験則はそのままには適用しがたく、商標の称呼は、取引者が商品の出所を識別するうえで一般取引におけるような重要さをもちえないからです。 ④両商標の称呼は近似するとはいえ、なお称呼上の差異は容易に認識されるので、「ひ」と「し」の発音が明確に区別されにくい傾向のある一部地域がある等の事情を考慮しても、硝子繊維糸の特殊な取引の実情のもとにおいては、外観および観念が著しく相違するうえ称呼においても両商標をとりちがえて商品の出所の誤認混同を生ずるおそれは考えられません。 |
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