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 実用新案に関する専門用語
  

 No:  004   

特許出願以外の保護/実用新案/登録出願の意義

 
体系 特許出願以外の保護
用語

実用新案登録出願の意義

意味  実用新案登録出願は、物品の形状・構造・組み合わせに係る考案の保護及び利用を図ることで、特許出願による保護制度を補完し、産業の発展に寄与するために認められています。


内容 @実用新案登録出願の対象である考案は、特許出願の対象である発明と同質であり、保護の方法も同じなので、理論的に両者を同一の制度のもとで一つにまとめてしまうことも可能です。

 しかしながら、我国が特許出願による保護制度を導入したときに、未だ我国の産業は外国のそれに比べて未熟であり、普通に特許の制度のみを運用すると、我国の産業活動が外国資本に牛耳られる可能性がありました。

 市場における独占排他権を認めるという保護態様は、国の経済にとっていわば両刃の剣であり、単純に外国資本による支配を許しては産業発達が図れません。

 こうした趣旨から、特許出願とは別に実用新案登録出願による保護が導入されました。

 そして今日もなお、実用新案登録出願は以下に述べる意義を有しています。

A特許出願の補完及び簡易な創作の保護
 特許出願と実用新案登録出願とでは、独占排他権の期間や特許庁に支払う料金(年金)などに差があります。これは次の理由によります。特許出願の対象である発明は高度の創作であり、一般的に研究開発費も高額であろうから、出願人はより多くの料金を支払っても研究開発費を回収するために長期の独占期間を求めるであろうと考えられます。それに対して実用新案登録出願の対象は、例えば日用品に簡易な工夫なので、独占期間は短くても料金を低額に留めた方がよい利用者のニーズに合うと考えられるのです。技術的思想の創作全体を山に例えると山頂に続いて裾野の部分が広く続いていると考えてよいと思われます。この広がりの部分を適切に保護することで、高度の創作である発明と、それほど高度でない考案とのバランスをとることができます。これが、欧米と比較して遅れて資本主義体制に入った我国の産業を育成する上で必要だったのです。 

B中小企業の育成
 最近では中小企業から革新的な技術が生み出されることも多々ありますが、日常活動の中での簡易な工夫が大きな商業的成功を占めることもあります。そうした簡易な工夫を低コストで権利化できる実用新案登録出願は、中小企業の育成に大きく寄与すると考えられます。

Cライフサイクルの短い考案・出願後に直ちに実施される考案の保護
 平成5年改正で実用新案制度に無審査主義が導入され、実用新案登録出願による保護は、特許出願による保護と大きく異なる特色を備えることになりました。それは早期の権利付与であり、出願をしてから約半年程度で権利化が期待できることです。技術分野によっては1〜2年の間に需要が集中し、その後は全く売れ行きが頭打ちになってしまうものもあります。例えば需要者の趣味や嗜好に左右されるもの(玩具など)です。そうした短期間の実施のニーズに特許出願では対応できず、そうした埋もれていたアイディアを実用新案登録出願では積極的に保護することができます。

 但し、無審査主義の下では権利行使に一定の注意が必要です(→実用新案権固有の行使の制限、実用新案技術評価制度)。


留意点 Aにおいて考案は高度性を必要していないと言いましたが、現在においては、それは主観的な意味に留まります。客観的な創作の困難性の要件である進歩性において、現時点では特許出願と実用新案登録出願との間ではそれほどの差異はないと考えられています(→考案の進歩性


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