体系 |
禁反言 |
用語 |
禁反言の原則とは(商標の場合) |
意味 |
禁反言の原則とは、一方の当事者の表示や言動により、他方の当事者がその事実を信じ、その事実を前提とする行動をとったときには、前者は、後者に対してその表示や言動と矛盾する主張をすることができないという原則です。
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内容 |
@禁反言の意義
(a)禁反言(エストッペル)は、もともと欧米法の原則であり、フェアプレイの精神の表れであるということができます。
(b)何に対して矛盾してはならないのかという観点では、禁反言には様々な態様(記録による禁反言・捺印証書による禁反言・法廷外の行為による禁反言)がありまますが、重要なのは表示による禁反言です。
(c)知財の分野では、出願の審査段階で特許出願人や商標出願人が主張した事柄と矛盾した権利の主張を行った場合に、禁反言の原則が適用される可能性があります。
ここでは商標出願に関連した禁反言の原則に関して解説します。
(d)判例では、商標の事件に関して禁反言の原則を適用することに慎重な態度も見えますが(→禁反言とならない事例のケーススタディ1(商標)/かも川事件)、それでも一定の範囲で商標出願に対して禁反言の原則を適用する事例が増えてきています。
ここではそうした商標出願に関連した禁反言の原則に関して解説します。
A禁反言の内容
(a)不使用取消審判において、原告が使用していた「エコパック」と本件登録商標「ECOPAC」とが同一であるか否かが争われたケースで、商標から「環境に優しい包装」が生ずるので社会通念上同一である旨の原告の主張に対して、かつて商標出願人であった原告は、出願軽快において、当該商標は「環境保護に十分配慮した包装容器」を意味するものではなく、特別の観念を生じない造語商標であると主張して当該商標出願について登録査定を受けているのだから、前言を翻して上記の如く主張することは許されないと判断された事例があります。
→禁反言の原則のケーススタディ1(商標の同一性を否定した例)
(b)禁反言の原則という言葉は使っていませんが、信義則の観点から、禁反言に相当する主張をh退けた事例として次の例を挙げます。
→禁反言による信義則のケーススタディ1(商標の場合)/I-Lux事件
これは、商標の類否に関して、拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において本件商標の文字部分“I-Lux”が“アイラックス”などの称呼を生じないという主張は、商標出願の審査段階において別の引用商標に関して当該称呼を生ずるという主張と矛盾するから許されないと判断された事例があります。
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留意点 |
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