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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1063   

Patent marking/特許侵害/特許出願

 
体系 外国の特許法・特許制度
用語

Patent marking(特許表示)

意義  Patent marking(特許表示)とは、米国において特許権者等が特許の存在を公衆に知らせるために撮ることができる表示をいいます(米国特許法287条(a))。


内容 @Patent markingの意義

(a)特許出願の対象である発明は無体物であり、これに対してpatentが付与されると、製造(making)・販売の申し出(offering for sale)・販売(selling)を実施することになりますが、他人には権利の存在が判らないため、故意でない侵害を生ずる可能性があります。

(b)こうした事態を回避するために、Patent markingを付するという手段があります。

(c)米国特許法287条(a)は、「(特許表示をすることで)公衆に気付かせることができる(may give notice to)」という書き方になっているので、単なる訓示規定のようにも思えますが、それを怠ったときの効果として損害賠償の請求を制限する旨が規定されています。

APatent marking(特許表示)の内容

(a)米国特許法287条(a)の第1段は、特許権者等は物品に所定の態様の特許表示をすることにより表示態様により、物品が特許を受けていることを公衆に通知をすることができる(may give notice to the public that the same is patented)旨を定めています。

(イ)表示の主体は、次の通りです。

・特許権者

・特許権者のため若しくはその指示に基づいて、合衆国において特許物品を製造・販売の申出若しくは販売する者

・特許物品を合衆国に輸入する者

(ロ)表示の態様は、次の通りです。

・その物品に「patent」という文字又はその略語「pat.」を特許番号を付して貼付すること。

 すなわち、特許表示として認められているのは、“patent”という正式名称、及び、略語(abbreviation)である“pat.”です。下手に変形したり、他の単語とくっつけたりせずに、はっきり特許表示と分かるようにすることが奨励されます。

・そこに用語「patent」又は略語「pat.」を公衆が無料でアクセス可能なインターネットの掲示アドレスと共に付して、特許製品と特許とを関連付けること。

 これは2011 年のAmerica Inventor Act(AIA)法改正で導入された態様であり、virtual marking(仮想表示)と呼ばれます。
virtual marking(仮想表示)とは

・又は物品の性質上、そのようにすることが不可能な場合は、当該物品が1以上入っている包装に同様の通知を記載したラベルを付着させること。

(ハ)表示の程度に関しては、次の判例を参照して下さい。

・“Patent markingの規定に対する十分な遵守(full compliance)が達成されたというためには、実質的に全ての商品に対して一貫してマークを付さなければならず、マークをされていない製品が供給されていないということが必要である。”

 (American Medical Sys., Inc. v. Medical Eng'g Corp., 6 F.3d 1523, 1537)

・“Patent markingの規定は実質的に首尾一貫してかつ連続的に(substantially consistent and continuously)行われることを要求されると解釈するべきである。”

(Susan M. MAXWELL v. J. BAKER, INC.,etc 86 F.3d 1098 )

すなわち、訴訟の対象となった使用期間のうちの一部で表示を行ったというだけでは足りません。しかしながら、特許権者(又は特許出願人)がライセンシーに表示義務を遵守させる場合には、合理の原則(rule of reason)に従って解釈し、特許権者が熱心に遵守させようとした場合には必ずしも100%表示されていなくても良いと判断された事例があります。
Patent marking(特許表示)のケーススタディ1

(b)米国特許法287条(a)の第2段は、「そのような表示をしなかった場合は、特許権者は侵害訴訟によって損害賠償を得ることができない。」旨を定めています。

 ちなみに工業所有権の保護に関するパリ条約5条Dには「権利の存在を認めさせるためには、特許の記号若しくは表示…を産品に付することを要しない。」と規定されています。すなわち、特許表示の存在を保護を受ける権利の条件とすることはできません。しかしならが、表示を怠ったことの別の効果(例えば刑事刑罰であるとか、特許侵害があったときに権利者が侵害者が権利の存在を知っていたことを立証したときに限り損害賠償を請求できるなど)を国内法令で定めるのは同盟国の自由であるとされています。

(c)米国特許法287条(a)の第3〜4段は、「ただし、侵害者が侵害について通知を受けており、その後、侵害を継続したことが証明された場合は、当該通知の後に生じた侵害に対してのみ、損害賠償を得ることができる。侵害訴訟の提起は、当該通知を構成する。」旨を定めています。

(d)前記米国特許法287条(a)の第2段の効果の意味は、特許表示をすることにより、侵害者に対して実際の通知をしたのと同等の効果を認めることであり、これを法律上で擬制告知という場合があります。→Constructive notice(擬制告知)とは

B日本の特許表示に関しては下記を参照して下さい。
特許表示とは


留意点

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