内容 |
①妨害予防請求権の意義
(a)妨害予防請求権は妨害排除請求権とともに物上請求権の一種です。 →物上請求権とは
(b)妨害排除請求権は、特許法100条第2項の侵害予防請求権に類似するものです。
②妨害予防請求権の内容
(a)所有権及び妨害排除請求権の関係と、特許法上の独占排他権(特許権)及び侵害予防請求権の関係とが類似しているため、裁判上において、その独占排他権の発生前或いは消滅後に、侵害予防請求権に代えて妨害排除請求権が主張される場合があります。
当事者としては駄目で元々という積もりで主張しているのかも知れませんが、当然ならがこうした主張は認められません。
存続期間の満了前に発明の実施に対して妨害予防請求権が請求された事例として、例えば平成8年(ワ)第12505号があります。
裁判所は、“特許法は100条により特許権を物権に準ずるもののように定めるとともに、その存続期間を明確に定めているから、物権法定主義の趣旨に照らし、特許権は存続期間の満了により対世的、絶対的に消滅すると解すべきであり、その消滅した特許権に基づく妨害排除請求権が存しないことは明らかである。”と判示しました。
また特許出願について出願公告制度があった時代(→出願公告とは)に、出願公告により仮保護の権利が発生する前に発明権に基づく妨害予防請求権が主張された事例として、昭和29年(モ)第15312号があります。
裁判所は、「特許権者の有する製造方法の使用、その方法によって製作した物の使用…を専有するところの権利は、その発明にかかる特許を出願公告することによって始めて発生するところのものであるから…、これが侵害排除の権利も、特別の規定による場合を除き、特許出願公告前には存しないものと解されなければならない。」と判示しました。
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