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1302 モデル特許陪審説示/特許出願(外国)/進歩性 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
モデル特許陪審説示(Model Patent Jury Instruction) |
意味 |
モデル特許陪審説示とは、米国の裁判制度において法律家の団体が提唱する、特許事件に関して陪審員に対して行なうべき説示のモデルです。
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内容 |
①モデル特許陪審説示の意義
(a)陪審説示(Jury
instruction)とは、陪審トライアルにおいて、裁判官が法律的論点を整理して陪審員に説明することをいいます。
(b)特許事件(特許侵害・特許無効確認・特許出願の可否など)は特殊な面が多いために、法律家の団体(National Patent
Jury Instructions Project)により、陪審説示のモデルが提唱されており、これを、モデル特許陪審説示と言います。
②モデル特許陪審説示の内容
(a)特許無効の証明責任に関して次のような文章があります。
いずれかのクレームの無効を証明しようとするときには、[訴えられた侵害者]は、あなたを、明確で説得力のある証拠でクレームが無効であり[及び/又は実施不能である]と説得しなければなりません。
(To prove invalidity [and/or unenforceability] of any claim,
[alleged infringer] must persuade you by clear and convincing
evidence that the claim is invalid [and/or unenforceable].)
→clear and convincing proof(明確で説得力のある証明)とは
(b)米国特許法によれば、特許権は有効であると推定されています(282条)。
その理由は、米国では、特許出願の実体的要件(新規性や進歩性)の有無を米国特許商標庁の審査官が審査しており、その判断を尊重して良いと解釈されるからです。
→Presumption of Patent Validity(特許の有効性の推定)とは
そして前記推定を覆すためには、裁判所の通常の証明レベルより高い水準の証拠、すなわち「明確かつ説得力のある証拠」が必要であるとされるのです。
従来の陪審説示では、特許権の有効性の推定についても陪審員に説明していましたが、最近のモデル特許陪審説示では、この点の説明を省くようになっています。
何故ならば、一般人である陪審員に“特許権は有効と推定される”と説明すると、そのことに影響され過ぎて、無効を判断するという陪審員の役割に混乱を生ずる可能性があるからです。
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留意点 |
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