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1326 特許出願人等の情報開示義務/進歩性 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
特許出願人等の情報開示義務とは(米国) |
意味 |
特許出願人等の情報開示義務とは、米国への特許出願の準備・手続に実質的に関与する全ての者が当該出願においてクレームされた発明について自ら知り得た情報を米国特許商標庁に開示するべき義務をいいます。
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内容 |
①特許出願人等の情報開示義務の意義
(a)義務の意味
情報提供義務は、米国への特許出願においてクレームされた発明の特許性に関連して(義務者が)自ら知り得た情報を米国特許商標庁に提出することです。
(b)義務の性質
情報提供義務は、米国において特許出願が誠実に遂行されるべき義務の一部であるの一部であるとされています。 →特許出願を誠実に遂行する義務(Duty
of Candor and Good faith)とは(米国)
米国の法律で「誠実」という文言が出てきた場合には中途半端に考えるとえらい目にあうことが多いですが、情報提供義務もその例から外れることはないという点に注意するべきです。
日本への特許出願でも同種の義務(要件)はありますが、義務の範囲と義務を怠ったときの制裁に関しては格段の違いがあります。
→特許出願の先行技術文献情報開示要件とは
(c)義務を負う者
情報提供義務を負うのは、特許出願人に限らず、発明者や特許出願の代理人など、実質的に特許出願の準備及び手続に関与した全ての者です(規則1.56(c))。
特に代理人に関しては、対応外国出願(同一人が同一発明について他国にした特許出願)の代理人も含むことに着目するべきです。
(d)義務の範囲
特許出願しようとする発明が特許を取得できるか否かについて重要であり(material)かつ知っている(known)情報です。
なお、後述するように“重要”という要件を特許出願人が恣意的に限定解釈することは慎むべきです。
(e)義務を果たす時期
特許出願をする際、及び、その後に先行技術などを知ったときには特許出願の後に義務を果たすことが要求されます。
(f)義務を果たすための手続
情報提供書(Information Disclosure
Statement)を提出します。
(g)義務違反の制裁
特許権を行使することができなくなる他、フロード(詐欺)の罪に問われる可能性があります。
②特許出願人等の情報開示義務の内容
(a)情報提供義務は、それを怠ったときの制裁が厳しいために、特許訴訟に至ったときに、被告から原告を攻撃するための定石的な手段となっています。
(b)義務の範囲に関して、「特許出願しようとする発明が特許を取得できるか否かについて重要」とされているのはそのためです。
本当は“特許出願のついての審査官・審判官の決定に対して影響を与える全ての情報”と規定したいところなのですが、このようにすると、特許出願人にとって有利な情報を提供しなかったことまでが、被告による攻撃方法の材料とされかねないからです。
(c)従って、米国出願に対応する日本の特許出願において拒絶理由(進歩性違反)の通知で複数の技術文献が引用されたときには、迷わず全ての引用文献を開示するべきです。対応する欧州特許出願のサーチレポートで複数の技術文献が引用された場合も同様です。
(d)「重要」の意味合いに関しては、下記を参考して下さい。 →特許出願人等が開示するべき情報の重要度(materiality)とは
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