No: |
1388 Misrepresentation/特許出願/ |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Misrepresentation(不当な表示) |
意味 |
Misrepresentationとは、英米法において、表示者が事実と異なる言動を行い,これにより言動の受け手が契約に誘引されることを言います。
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内容 |
@Misrepresentationの意義
(a)Misrepresentationは、民事裁判の対象となり得る不法行為(tort)であり、事実と異なる表示(陳述)をすることにより、相手方が契約の合意に導く行為です。
例えば不毛な土地(沼地など)を商業地であるように宣伝し、相手の誤解を利用して土地の売買契約にこぎつけるというよう場合が該当します。
(b)Misrepresentationの成立が認められれば,その救済として損害賠償の請求が認められます。その場合には、表示者の内心(完全に騙す積もりであったのか、それとも表示者も表示した事実を真実だと信じていたのか)が考慮されます。
また裁判所は、裁量によって、その契約の取り消し(rescission)を認めることができます。
(c)Misrepresentationは、口頭証拠排除の原則の例外としての意味を持ちます。 →口頭証拠排除の原則とは
Misrepresentationの成立を排除するため、契約書に記載した事項以外の契約条項が存在しないことを確認する完全合意条項を契約書に含めることが一般的です。
→完全合意条項とは
(d)Misrepresentationには次の種類があります。
・Fraudulent
misrepresentation
これは、詐欺的なもので,事実を表示した者が,虚実と知っている場合,または,表示された事実が真実であると信じていない場合が該当します。
・negligent misrepresentation
これは、事実を表示した者が,虚偽の事実が真実だと信じて表示したが,信じたことが合理的な根拠に基づいてない場合です。
・innocent misrepresentation
これは、虚偽の事実を表示した者が,その事実が真実であると信じていた場合で,信じたことが合理的な根拠に基づいている場合です。
AMisrepresentationの内容
(a)例えば特許ライセンス契約の契約書に、“特許が無効となった場合に、無効理由の如何によらず一旦受領したライセンス料は返還しない。”と記載されており、これに関して間違った説明をし、相手方に信じさせたような場合が該当します。
例えば“特許出願の日前の先行技術から見て特許発明が当業者にとって自明のものである場合には特許が無効となるが、特許出願の審査において技術的専門家である審査官が特許の可否を慎重に審査しているのであるから、特許が無効になるようなことは滅多に起こらない。”というような説明をし、特許に詳しくない相手方がライセンス契約に合意するように誘導したような場合には、Misrepresentationが成立し得ると考えます。
米国を含めて殆どの国では、世界中で公知の発明(公知文献など)が審査の対象となる世界主義を対象としているにも関わらず、各国の特許庁の審査資料のデータベースはその全てをカバーできておらず、審査官が優秀であるか否かとは関係なく、特許無効となる可能性があるからです。
(b)また特許出願の明細書の補正がいわゆる新規事項を含むかどうかに関して、審査官に対して特許出願人が不適切な説明をし、その結果として審査官が特許査定をした場合には、Misrepresentationが成立すると判示した事例が存在します。
→技術的専門家 のケーススタディ6
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留意点 |
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