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1433 保全処分/特許出願/特許の活用/進歩性 |
体系 |
行政行為 |
用語 |
保全の必要性とは(特許の活用の為の) |
意味 |
保全の必要性とは、本案訴訟の前に暫定的な措置(保全処分)をとることを正当化できる程度の具体的な必要性をいいます。
特に特許侵害訴訟においては、保全の必要性を十分に疎明することが、侵害の拡大を未然に防ぎ、特許の活用を図る上で重要となります。
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内容 |
@保全の必要性の意義
(a)保全処分は、本件訴訟の前に暫定的な救済を認めるものですので、本件訴訟の原告が迅速な救済を受けることができる反面、原告敗訴となった場合には、被告に対して大きな不利益を生じさせる可能性があります。
(b)従って、仮処分の申立人に対しては、被保全権利の存在を疎明するとともに、保全の必要性を疎明することが要求されます。
例えば、係争物に関する仮処分や紛争物に対する仮差押命令の場合には、即時に、保全処分をしないと、当該紛争物を第三者に譲渡されてしまい、本案訴訟で強制執行することが不可能になったり、或いは非常に困難となるなどです(→係争物に関する仮処分とは)。
(c)知財の分野では、特許出願に対して特許が付与されると、独占排他権である特許権が付与されますが、特許権の特殊性より、保全の必要性が大きな争点となります。
(d)まず特許権者の側から見ると、次のような特殊事情があります。
・特許権は無体財産権(無体物である発明に付与される権利)であること
特許権は無体財産権であるために、権利対象の事実上の占有が不可能であるという事情があります。誰か一人が特許発明を模倣して侵害品が商業的成功を収め、これを見た周囲の人間が我も我もと模倣を繰り返すと、侵害品が市場を席巻し、特許権者が幾ら努力しても特許法が本来保障した筈の発明品(真正品)による市場の独占が困難が困難となる可能性があります。
こうなると、特許の活用は到底図れません。
・特許権の効力は業としての特許発明の実施に限定されていること(特許法第68条)。
特許権の効力は、業としての特許発明の実施に限定されており、末端ユーザーの個人的・家庭的な実施には及びません。末端ユーザーは、既に入手した発明品(侵害品)が壊れるなどしない限り、新製品を購入しないでしょうから、仮に特許権者が市場から侵害品を駆逐できたとしても、末端ユーザーの手元にある侵害品が機能し続ける限り、特許権者による特許製品の売り上げも低迷することになります。
そこで特許権者にとっては、侵害行為を早い段階で阻止することが特許の活用につながるのです。
(e)他方、本案訴訟(侵害訴訟)の被告側から見ると、特許権は不安定な権利であるとい特殊性があります。
すなわち、前記特許出願に対して、正式の手続(方式審査及び実体審査)を付与された特許権であっても、所定の無効理由が存在すれば、無効審判の請求により無効とされる可能性があるのです。
無効理由としては、特許出願の日前に公開された先行技術と同一の発明である場合(新規性の欠如)や、、特許出願の日前に公開された単一の先行技術又は複数の先行技術の組み合わせから当業者が容易に発明できた場合(進歩性の欠如)などが考えられます。
そして特許が無効となると、侵害行為の差止を内容とする仮処分の命令は、被保全権利は消滅したものと判断され、保全命令が取り消される可能性が大きくなります。
(f)従って、特許侵害訴訟の原告及び被告は、それぞれの立場から、保全の必要性に関して検討しておくことが望まれます。
A保全の必要性の内容
(a)一般論として、保全の必要性を判断する際には、保全処分により特許権者側が受ける利益と、保全行為により被疑侵害者側が受ける不利益とのバランスを考量する必要があります。
(b)まず前記侵害行為の差止の仮処分の保全の必要性に関して、肯定的な要因として次の事情が挙げられます。
・権利者が特許の活用に積極的であること。 →特許の活用策・保全の必要性のケーススタディ1
積極的に特許を活用した結果として、特許製品が市場を寡占である場合には、保全の必要性が大きいので、その旨を主張することが有利です。
・間接侵害により特許権者側の被害が深刻であること。 →特許の活用策・保全の必要性のケーススタディ2
(c)特許侵害訴訟において、侵害行為の差止の仮処分の保全の必要性に関して、否定的な要因として次の事情が挙げられます。
・特許権者が特許の活用を積極的に図っている旨の疎明がないこと。 →特許の活用策・保全の必要性のケーススタディ3
・特許無効審判の可能性が大であること。 →特許の活用策・保全の必要性のケーススタディ4
・侵害者と目される側の不利益が過剰であること。 →特許の活用策・保全の必要性のケーススタディ5
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