パテントに関する専門用語
  

 No:  401   

進歩性審査基準(特許出願の要件)/付加

 
体系 実体法
用語

発明特定事項の付加(進歩性判断のケーススタディ)

意味  発明特定事項の付加とは、ある発明の構成に新たな技術的事項を追加することです。独立した新たな技術的事項を追加する場合だけでなく、主引用文献に記載した発明の特性(材料や数値範囲など)を特定する事項を追加することを含みます。


内容 @特許出願の請求項に係る発明が、引用発明に新たな技術的要素を組み込むことで容易に達成できるときには、請求項に係る発明の進歩性は否定されます。なお、異なる技術分野(隣接する分野を含む)の技術的要素を付加することを発明特定事項の転用といいます。

A発明は、技術的思想の創作であり、例えば要件A+B+Cからなる発明はそれら要件が全体として結合することで思想として成立しています。従って主引用例の発明に要件A+B+Cに要件Dを加えることで発明の目的に反するような事情(阻害要因)が生じたり、副引用例の発明の要件の一部(要件D)を主引用例に適用することで技術的な意味合いが変わってしまう場合には、発明特定事項の付加は容易ではありません。

B他方、進歩性審査基準によると、特許出願の請求項に係る発明と主引用例との相違が、設計的事項の範囲(公知材料の中からの最適材料の選択、数値範囲の最適化又は好適化、均等物による置換、技術の具体的適用に伴う設計変更)のみに留まるときには、他に進歩性の存在を推認できる根拠がない限り、当業者が容易に発明できたものと考えられるます。当業者の通常の創作能力の発揮だからです。→発明特定事項の置換

C発明の課題解決のために、関連する技術分野の技術手段の適用を試みることも当業者の通常の創作能力の発揮であり、例えば関連する技術分野に付加可能な技術手段があるときは、当業者が請求項に係る発明に導かれたことの有力な根拠となります。

{付加が容易であると判断された事例}

D赤外線エネルギーの波長範囲が略 0.8より1.0μmの赤外線波を用い送受信を行うことは、従来周知の事項であると認められ、緊急車の運転伝達装置にこれを適用することを妨げる特段の事情も窺えない以上、これを当該装置に適用することは、当業者にとって容易に想到し得たことと認められると判断された事例があります(平成9年(行ケ)第86号)。

E同一技術分野に属する引用発明 1(段ボール紙印刷機における印刷インク回収装置)と引用発明2(印刷インキ等の高粘性液を供給する装置)との間で、基礎的な技術手段(移送ポンプの駆動モータを逆転制御回路に連設することによって移送ポンプを正転・逆転に切り換えられる吐出・吸引ポンプ)を援用することは、たとえ両発明の課題が異なっていても当業者にとってきわめて容易であるとした事例があります(平成8(行ケ)第21号)。

{付加が容易でないと判断された事例}

F耐油汚れの評価方法の特許出願に関して、防汚性を評価する主引用例との相違点は、汚れの滴下後に乾燥工程を経ないで水洗することであると認定し、当該事項は副引用例に開示されているという審決の判断が誤りだとされた事例があります(平成21年(行ケ)第10361号)。乾燥工程を経ないで水洗することの意図が異なるからです。

本願発明…被評価物を傾斜して固定し、被評価物の上に疑似油汚れを滴下し、さらに特定量の水を滴下して、疑似油汚れの残留状態を評価するという構成により、評価の信頼性を担保しつつ時間・労力・価格を抑えるという効果を奏する発明
主引用例…正確なデータを取得するために流下物の滴下・乾燥・水の滴下・乾燥を25回繰り返しす方法

副引用例…疑似汚れを確実に付加するために汚れの滴下後に乾燥工程を経ないで水の洗浄を繰り返す方法


留意点 発明特定事項の省略


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