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403 進歩性審査基準(特許出願の要件)/置換 |
体系 |
実体法 |
用語 |
発明特定事項の置換(進歩性判断のケーススタディ) |
意味 |
発明特定事項の置換とは、ある発明の成立要件である一つの事項を別の技術的意義を有する事項へ置き換えること、特に発明としての有機的一体性を損なわずに発明特定事項を置き換えることをいいます。
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内容 |
@特許出願の請求項に係る発明が、引用発明の成立要件である一部の技術的要素を他の要素へ置換することで容易に達成できるときには、その発明の進歩性は否定されます。
A進歩性審査基準によれば、均等物による置換などは、当業者の通常の創作能力の発揮であり、相違点がこれらの点にのみある場合は、他に進歩性の存在を推認できる根拠がない限り、通常は、その発明は当業者が容易に想到することができたものと考えられる、としています。
Bさらに進歩性審査基準では、発明の課題解決のために、関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮であり、例えば関連する技術分野に置換可能な技術手段があるときは、当業者が請求項に係る発明に導かれたことの有力な根拠となる、としています。
C「置換可能な」とは、作用又は機能の共通性や課題の共通性などから置換容易であることが肯定できる場合には、という意味です。
{置換が容易と認められた事例}
D進歩性審査基準には、印刷装置のシリンダ洗浄を布帛を押圧して行う発明に関して、引用発明
1のカム機構に代えて、押圧手段として引用発明
2の膨張部材を転用することの背景は存在するということができると判断された事例が紹介されています(平成8年(行ケ)第262号)。
(イ)引用発明 1のカム機構も引用発明
2の膨張部材も布帛をシリンダに接触・離反させる作用のために設けられている点で異なるところはないからです。
(ロ)この事例では、引用文献1、2は、押圧をする意図(汚れ等の付着物の除去か版溝以外の部分に付着した余剰のインクの除去か)や押圧手段の機構(カム機構による移動と膨張)において相違しているために、審判では一旦置換は容易ではないと判断されていたのですが、裁判により判断が覆りました。
→発明特定事項の付加、発明特定事項の転用
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留意点 |
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