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413 進歩性審査基準/特許出願の要件(外国)/一応自明性 |
体系 |
実体法 |
用語 |
As a whole とは(進歩性) |
意味 |
As a whole
とは、米国特許出願の進歩性判断に用いられる概念であり、本願発明と引用発明とを比較するときには、発明全体で比較しなければならないということです。
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内容 |
@発明の進歩性を評価するときには、発明を複数の構成要素A+B+Cに分解して、例えば主引用例にはA+Bが記載されている、副引用例にはCが記載されている、主引用例に副引用例を適用すると容易に発明に到達できるという論法の是非を判断するという手法をとります。しかしながら、このとき審査官が陥り易い後知恵(ハインドサイド)が発明全体の技術的意味を軽視して事後分析的に上の論法に当てはめるということです。
A例えば結晶性の素材を延伸して製品を作るというプロセスで、結晶構造を破壊せずに延伸するには、低温でゆっくり延伸するか、高温で延伸するしかないという思われていたのにも関わらず、或る種の素材を用いた場合には低温・高速で延伸しても高い強度の製品ができるということを発見し、発明に至ったとします(731 F.2d 1540)。この場合に、引用例1には当該素材を低温で(ゆっくりと)延伸することが開示されており、引用例2では素材を(高温で)高速延伸することが記載されているから、後者の高速延伸技術を前者に適用すると、本願発明に容易に到達できるという論法を適用すると、不合理な結論となります。全体としての発明の意味は、或る種の結晶性素材では低温で高速延伸しても構造の破壊を生じないという思想にあるのだから、その思想は一体として評価しなければならないということです。
BMEPEに記載された別の事例をあげると、ウィールバランサ(振動測定装置)事件があげられます(713 F.2d 782)。従来、この種の分野では、共鳴をdamp(吸収)する機構へのニーズを前提とするものでした。これに対して、本願発明は、隙間のない(gapless)一体の支持構造によりdampingに対するニーズを不要とするものでした。この思想を全体として評価することなく、単に本願発明と引用発明との相違点として4つのボルトピースを一体化したことのみに焦点を与えることは不当である、という判断が示されました。
CMEPEにはさらに非自明の方法で高純度の麦芽糖を作る第1・第2のステップと、これを甘味料として適用する第3のステップからなる発明に関して、発明全体としては非自明と判断した事例が掲載されています(In re Hirao, 535 F.2d 67, 190 USPQ 15 )。
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留意点 |
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