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 パテントに関する専門用語
  

 No:  455   

進歩性(特許出願の要件)/発明できた

 
体系 実体法
用語

進歩性の判断手法

意味  裁判所の判決文には、特許出願に係る発明の進歩性の判断に参考となるさまざまな手法が示されています。ここではそうした手法の幾つかを解説します。


内容 @発明の構成を重視する手法

(A)現在の法律では条文中に「発明の構成」という文言がなくなってしまいましたが、ここでの“構成”とは、課題を解決するための手段という程度の意味と考えて下さい。

(B)技術的思想の創作である発明は、発明の目的、発明の構成、発明の効果という3つの要素から捉えることができるが、発明の目的が創作の起因であり、発明の効果が創作の結果であるとすれば、発明の構成は創作の本質であり、結局、進歩性の問題は構成の難易に帰着するから、構成の相違が僅かであれば、引用文献中に発明の目的や効果が示唆されていない、というような形の展開となります。

(C)参考例

昭48(行ケ)142号「嵩高糸製造装置」

 「気化熱を冷却に用いるという周知技術を嵩高糸製造装置において利用することは、その技術内容自体に鑑みると、これを直接示唆する文献がないからとて容易に想到しえないものではなく」
進歩性判断の手法のケーススタディ(構成重視の場合)

A作用・効果を重視する手法

(A)これは、構成は課題解決手段として一定の作用を伴うものであり、この作用は構成及び効果と密接に結びついているから、作用・効果において構成の技術的意義を理解し、発明の把握を理解することが重要であるという考え方です。

 具体的には、特許出願に係る発明と主引用例との相違点が副引用例に記載されており、作用・効果の違いが格別なものでないときには、進歩性がないという展開となります。

(B)参考判決

 昭53(行ケ)206号「静電記録媒体」事件

 “(本件特許出願に係る発明は)記録の際の操作の手数を省いて記録速度を高めるなどの顕著な作用効果を奏するものであることが認められ(る)”から進歩性を認められるべきである。
進歩性判断の手法のケーススタディ(目的・効果重視の場合)

B折衷的な手法

 発明の構成の予測性、発明の目的の予測性、発明の効果の予測性をそれぞれ検討して、進歩性を判断する手法です。


留意点  米国特許出願の実務では、進歩性の判断の手法は、問いかけの形で判断基準を述べるテスト形式でまとめられています。→グラハムテスト

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※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。


 

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