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498
進歩性審査基準/特許出願の要件(外国)/analogous art |
体系 |
実体法 |
用語 |
two step test とは(analogous art) |
意味 |
analogous artのtwo step testとは、米国特許出願の非自明性(進歩性)の解釈に用いられるテストであって、先行技術がanalogous art(類似の技術)であるか否か、言い換えれば引用文献としての適格性があるかどうかを、発明者の試みの範囲と技術的課題との双方から2段階で判定するです。
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内容 |
@上述のtwo step testは、特許出願の進歩性の有無に関する訴訟など(In re Deminski, Innovation Toys v. MGA Entertainment and Wal-Mart)で採用されているテストであり、具体的には次のようなものです。
第1ステップ
先行技術文献が発明者の試みの範囲(Inventor’s Field of Endeavor)にあるか。
第2ステップ
第1ステップの答えが否である場合には、当該文献は発明者が直面する問題に対して合理的に関連(Reasonably Pertinent)であるか。
A「発明者の試みの範囲」とは、日本人になじみの薄い表現ですが、おおよそ日本の進歩性審査基準における技術分野の関連性に対応する用語であると考えればよいでしょう。
B日本の進歩性審査基準でも、技術分野の関連性や課題の共通性は、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆とともに特許出願の請求項に係る発明の進歩性を否定する論理付け(動機付け)に用いられる概念であります。しかしながら、どちらが第1のステップ、第2のステップということは言わずに、4つの判断要素を並列的に並べているだけです。
(下図参照)
C先行技術文献に開示された技術が、判断対象(特許出願の請求項に係る発明)と同じ機能及び構成(function and structure)を有するときに、当該文献は発明者の試みの範囲にあると判断した事例としてIn re Deminski(高圧ガス・トランスミッション・コンプレッサー事件)があります。
この事件では、特許出願の対象はダブルアクション式のピストンを具備する高圧ガス・トランスミッション・コンプレッサーであって、吸気弁及び排気弁を交換可能な機構を有していました。裁判所は次の先行技術文献が発明者の試みの範囲にあり、analogous artであると認定しました。
[主引用例]
ダブルアクション式の高圧ガス用のコンプレッサーであって、弁を交換する構成も弁交換の課題も有しないもの
[副引用例]
ガス以外の流体に使用されるダブルアクション式のポンプであって、吸気弁及び排気弁を有するもの。 →796 F.2d 442 (In re Deminski)
D審査官がtwo step testに適合しない先行技術を寄せ集めて特許出願の進歩性(非自明性)を否定し、その特許出願を拒絶しても、裁判所はそれらの先行技術は実質的な証拠(substantial evidence)ではないとして、その結論を覆します。 →substantial evidence とは
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留意点 |
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