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586 標準必須特許/特許の活用/特許出願 |
体系 |
ビジネス用語 |
用語 |
標準必須特許 |
定義 |
標準必須特許(Standard Essential Patent)とは、技術標準を実現するために必須な技術に関する特許をいいます。
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内容 |
①標準必須特許の意義
或る特定の業界で複数の企業が集まって技術標準(フォーラム標準)を策定して、当該業界の技術の普及を図ることは重要な意味を持ちます。当該業界が競合関係にある他の業界に対する競争力を高め、市場自体を拡大することが期待できるからです。技術標準は、需要者にとって魅力的な優秀な技術がベースとしなければなりませんが、そうした技術は誰かが既に特許出願している可能性があり、技術標準が策定された後に当該特許権の行使により標準化された技術を業界全体で使用できなくなるという事態は避けなければなりません。そこでフォーラム標準では標準の策定と並行して標準の実現に必須の技術の権利取得を目指す特許出願を把握し、合理的なルールの下で標準必須特許の活用を図ることが通常となっています。
②標準必須特許の種類
(a)標準必須特許には、技術的に必須なものと、商業的に必須なものとがあります。
(b)技術的に必須な標準必須特許とは、標準に準じた仕様とするときに、当該技術を実施しなければならない特許です。この場合には、実施者は当該特許の侵害を回避できません。
技術的に必須な標準特許には、さらに実装が義務的(Mandatory)なものとと、実装が裁量的(Optional)なものとがあります。
(c)商業的に必須な標準必須特許とは、技術的には回避する余地があるものの、回避しようとすると費用や性能面で無理が生ずる特許です。従って実施者は当該特許の侵害を回避することが実質的に困難です。
③標準必須特許の活用
例えばパテントプールの仕組みを通じて実施料を得ることが期待されます。
④標準必須特許の行使の制限
(a)技術標準を策定する際の約束事(→IPRポリシーとは)として、近年では適当な実施条件で実施権を付与することを宣言するFRAND宣言を行うことを要求されることが多くなっています。そうしないと技術標準が普及した後に標準必須特許に基づいて高額の実施料を請求されるという不都合を生じ得るからです(→ホールドアップ問題とは)。
(b)近年の訴訟の傾向では、標準必須特許に基づいて差止請求することを権利の濫用とする事例が多くなっています。
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留意点 |
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