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634 フェスト判決/均等論/特許出願(外国) |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
フェスト判決 |
意味 |
フェスト判決は、米国特許出願の経過から生ずる禁反言を厳格に適用する考え方を排して特許権の均等論の適用を柔軟に認めた判決です。
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内容 |
@フェスト判決の意義
(A)均等論の適用の是非に関しては、特許出願の経緯においてクレーム中のある要素が減縮されたときには当該要請に関しての均等を一切認めないコンプリート・バー・ルールと、禁反言を弾性的に適用するフレキシブル・バー・ルールとがあります。
(B)フェスト判決の要旨は次の通りです。
(a)特許出願の経過による禁反言は,先行技術回避のための補正のみならず,特許法上の要件を満足させるためになされたあらゆるクレーム補正に適用することができる。
(b)特許出願の経過による禁反言は,補正されたクレーム要素にとってのあらゆる均等物を侵害品として追及する訴訟を禁ずるには及ばない。
Aフェスト判決の内容
(A)下級審〔(連邦巡回裁判所(CAFC)〕の大法廷判決は,禁反言が生じた場合には,禁反言を生じさせた補正が行われたクレーム要素について均等範囲を主張することを一切禁じるというコンプリート・バーの採用を主張しました。
→フェスト事件の連邦巡回裁判所判決(いわゆるフェストW)とは
(B)しかし,最高裁は,コンプリート・バーの採用を否定しました。その理由は次の通りです。 →(均等論の)コンプリート・バーとは
第1に、言語によって発明の本質を正確に表現するのに限界があるからである。
第2に、禁反言についての現行の解釈(フレキシブル・バー)に対する現存する特許権者の期待を尊重すべきだからです。
第3に、特許出願人が補正を行う際に補正後のクレーム範囲に関して有する意図が、それの均等範囲を一切放棄することに必ずしも一致しない場合があるからです。
(C)これにより、従来のフレキシブル・バーの考え方(放棄された主題を認定することを前提にし,その放棄された主題の範囲に応じて,均等範囲を主張することが禁じられる範囲を決める)が継続することになりました。
→(均等論の)フレキシブル・バーとは
Bフェスト判決と特許出願の実務との関係
仮にフェスト判決がコンプリート・バーを採用したとすると、特許出願の段階でクレームをすると、補正した技術的要素に関して後に均等論の恩恵を殆ど受けられない可能性があり、米国特許出願の実務家の注目を集めた事件です。しかしながら、結果としてフレキシブルバーが採用され、実務家達を安堵させました。
C日本ではボールスプライン事件において、均等論の条件が示されました。 →ボールスプライン事件とは
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