体系 |
特許出願の種類 |
用語 |
特許出願の拒絶理由 |
意味 |
特許出願の拒絶理由とは、特許庁の審査官・審判官が特許出願を拒絶しなければならない法定の理由をいいます(特許法第49条第1項)。
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内容 |
①特許出願の拒絶理由の意義
(a)特許出願は、独占排他権である特許権の付与を求める意思表示であり、その特許権は、新規な発明の公開の代償として付与されるものです。
(b)市場において特定の技術の実施を一私人に独占させるという手法は、他の競争者の行動を規制するものであるので、特許出願が適正な主体により適正な客体(発明)に対して適正な手続に則って行われたときのみ認められるべきです。
(c)そこで特許法は、特許出願の拒絶理由を法律に規定しました(特許法第49条)。
(d)特許出願は、この条文に規定した理由でしか拒絶することができません。 →特許出願の拒絶理由の限定的列挙とは
②特許出願の拒絶理由の内容
(A)特許出願の主体的な拒絶理由(特許法第49条第1号、同第7号)
(a)外国人が、特許に関する権利を享受する資格を欠くときには、特許出願が拒絶されます(特許法第25条)。
(b)複数人が共同で発明したときには、共同発明者全員で特許出願をしないと拒絶されます(特許法第38条)。
(c)特許出願人が冒認者(発明者として特許を受ける権利を取得しておらず、また特許を受ける権利を承継者でもないもの)であるときには特許出願は拒絶されます(第49条第7号)。
→特許出願の拒絶理由(主体関係)
(B)特許出願の客体的な拒絶理由(特許法第49条第1号、同第3号)
(a)特許出願の対象が産業上利用可能な発明でないときには、特許出願は拒絶されます(特許法第29条第1項柱書)。
創作の保護により産業の発達に寄与することが特許法の目的だからです。
(b)特許出願の対象が新規性・進歩性を欠くときには、特許出願は拒絶されます(特許法第29条第1項各号、同第2項)。
新規性は創作の客観的な価値を担保するため、進歩性は創作の価値の程度が十分であることを担保するために、必要だからです。
(c)先願主義に違反しているとき(特許法第39条)、又は拡大された先願の地位の要件(特許法第29条の2)に違反しているときには、特許出願は拒絶されます。
前者はダブルパテントの排除の原則によるため、後者は実質的に新たな技術を開示しない後願に特許を付与することが妥当でないためです。
(d)特許出願の対象が法律により特許を受けることができないものとされているものであるとき(特許法第32条)、或いは条約により特許できないものであるとき(特許法第49条第3号)には、特許出願は拒絶されます。
→特許出願の拒絶理由(客体関係)
(C)特許出願の手続的な拒絶理由(特許法第49条第4号、第5号)
(a)特許出願人が先行技術文献情報提供義務違反(第5号)をしたとき、或いは、出願手続において明細書の記載要件違反(第4号)又は特許出願の単一性違反(第4号)があるときには、特許出願は拒絶されます。
(b)また特許出願の不適正な補正に起因して拒絶理由が生ずる場合があります。
すなわち、特許出願人が明細書に新規事項を追加する補正が行われたとき(第1号)、或いは、外国語特許出願の原文に対して新規事項を追加する翻訳文を提出したとき(第6号)には、特許出願は拒絶されます(特許法第49条第1号、第6号)。
→特許出願の拒絶理由(手続関係)
③特許出願の拒絶理由の取り扱い
(イ)審査官が特許出願を発見したときには、拒絶理由通知を発し、それによって拒絶理由が解消されなければ、当該特許出願に関して拒絶査定をしなければなりません。
(ロ)同様に審判官は、特許出願の拒絶査定に対して不服審判の請求が行われており、審判請求書を検討して、なお拒絶理由が存するときには拒絶審決をしなければなりません。
(ハ)拒絶理由が存在するときには、審査官・審判官は、必ずそれらの処分をしなければならず、審査官・審判官の裁量により特許出願の許否を決定することはありません。
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