体系 |
民法 |
用語 |
契約自由の原則 |
意味 |
契約自由の原則とは、個人は自己の意思に基づいて自由に自由に契約を締結することができるという原則です。
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内容 |
@契約自由の原則の意義
(a)歴史的な沿革としては、封建時代の領主と領民(農民)の如く身分による支配関係が存在した時代がありました。
近代法は、こうした身分による拘束関係に代えて、私法関係を規律する基礎を、当事者の自由意思に基づく契約におき{→Contract(契約)とは}、可能な限り国家の干渉を排除するという思想に辿り着きました。これが契約自由の原則です。
契約自由の原則は、私的財産制度とともに、近代の資本主義社会の支柱として位置付けられるものです。
(b)自由な意思の下で締結された契約は当事者を拘束しますが、その契内容が著しく社会的な妥当性を欠く契約を国家は保護しません。
例えば専用実施権・通常実施権(特許出願中であるときには仮専用実施権・仮通常実施権)のライセンス契約の内容が不当な取引制限に相当するときには独占禁止法違反となります。また公序良俗(社会の秩序)に反する内容の契約は、無効とされています(民法90条)。
(c)契約自由の原則は、当事者の立場が対等ではないと有効に機能しないため、特別法による修正が加えられている場合があります。
例えば、従業者等がした発明については(→従業者等とは)、その発明が職務発明である場合を除き(→職務発明とは)、予め使用者等に特許を受ける権利もしくは特許権を承継させることを定めた契約、勤務規則、その他の定めの条項は無効とするという如くです(特許法第35条第2項)。
当事者がそれに反する合意をした場合であっても適用される規定を強行規定といいます(→強行規定とは)。
A契約自由の原則の内容
契約自由の原則の“自由”の中身は次の通りです。
(a)契約締結の自由
例えば特許を受ける権利は譲渡性があり、この権利の原始的取得者である発明者は、特許出願前或いはその後に当該権利を譲渡することができますが、譲渡契約を行うか否かは権利者の自由です。
→契約締結の自由とは
(b)契約内容の決定の自由
例えば発明の活用手段として、特許権権者には専用実施権の設定・通常実施権の許諾があり、特許出願人には仮専用実施権・仮通常実施権の制度がありますが、排他性を有する物権的権利である専用実施権にするのか、排他性を有しない債権的権利である通常実施権にするのかは、契約当事者が自由に決定できます。なお、専用実施権の場合には、特許権者自身も実施権の範囲において発明を実施できません。
→契約内容の決定の自由とは
(c)契約相手の選択の自由
例えば企業に雇用された者(発明をすることを職務とする者を除く)がした発明は、前述の職務発明ではないため、その者が特許出願前或いはその後に特許を受ける権利を譲渡する際には、雇用者に限らず、譲渡契約の相手を自由に選択できます。
→契約相手の選択の自由とは
同様にライセンス契約(専用実施権の設定や通常実施権の許諾)の相手を選ぶことも特許権者の自由です。もっとも、この点を全く権利者の自由とすると、発明の利用を図る特許制度の趣旨から問題があるため、裁定実施権の制度が設けられています。
→裁定実施権とは
(d)契約方式の自由
契約は、当事者の合意により成立し、特別の方式(契約書など)を必要としないのが原則です。もっとも契約に関するトラブルを回避するために、書面による契約書を作成するのが通常です(→契約書とは)。
また例えば特許出願人から特許を受ける権利を譲り受ける場合には、名義変更届を提出するために、合意の事実を証明する書面(譲渡証書)が必要です。
→契約方式の自由とは
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留意点 |
契約自由の原則の下では、当事者の一方にとって著しく不利な契約内容であっても、特別法により無効とされるものでない限り、当事者同士の自由意思により契約は有効に成立します。例えば特許出願の前後において発明者が特許を譲渡するときには、その発明がどの程度の価値があるのかを見極めて契約を行うことが重要です。さらに付言するなら、契約の締結時には返す返すも慎重に、細部をうやむやにせずに、契約の条項の意味が自分の理解と一致しているかどうかを確認することが重要です。
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