体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
観念類似 |
意味 |
観念類似とは、取引の経験則上で商品又は役務(以下「商品等」という)の混同を生ずるおそれがあると認められる程度に、対比する2つの商標の有する意義が相紛らわしいことをいいます。
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内容 |
①観念類似の意義
商標の外観や称呼が異なっていても、観念が紛らわしいために出所混同を生ずることがあります。典型的なのは、日本語と外国語とで観念が類似する場合です。
例えば「キング」という商標で過去に買い物をして、後日同じ商標を付した商品を選ぶつもりで、「王様」という商標のものを選んでしまうというパターンです。
最初の買い物をした日の翌日であれば、おそらく「キング」の意味だけでなく、「キング」の外観や称呼も記憶に残っており、正しい商標を付した商品を選べるでしょう。しかしながら時間が経つにつれて、商標の外観・称呼・観念の3要素のうち印象に薄いものから忘れていきます。そして観念のみが残ったときに、観念の混同による出所混同が起こり得ます。そこで商標の観念類似の態様が考えられました。
②観念類似の具体例
観念類似の例としては、例えば「spring」と「春」とが該当します(昭和26年(抗)366))。意義が同一だからです。
③観念の意義 (イ)「観念」とは、商標の構成から一見して世人が認識するものをいいます。
例えば商標「KEMELIA」または「カメリヤ」は、辞書を通じて初めて「椿」(独語「Kamelie」又は英語の「Camellia」)という意味がわかるのであり、観念類似には該当しないと判断した事例があります(昭35(行ナ)122号)。
→商標の観念とは
(ロ)外観類似の判断において対比する商標の意義が厳密に同一であることを要しないという判例があります(昭和34年(行ナ)35号)。この事例では、造語商標である「昭和小判」を商標「小判」と対比して、以下の理由から外観類似と判断したものです。
「昭和の」という概念の限定はあっても、「昭和」という語は(この時点での)現年号であってしばしば口にされ、印象が強くないから、小判と無関係の]商品に使用してもそれほど識別力に影響しないと解釈されたからです。
→観念類似のケーススタディ1(意義の同一性の程度)
(ハ)2つの観念が結合してなる結合商標(例えば矢富士)に関しては両者が取引の実情において一体をなし、分離観察することが不自然と解されるかどうかが問題となります(昭和28年(行ナ)11号)。
→観念類似のケーススタディ2(2つの観念の結合)
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留意点 |
→商標の類似とは
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