体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
発明特定事項 |
意味 |
発明特定事項とは、特許出願の手続において出願人が特許を受けようとする発明を特定するために記載する事項であり、特許請求の範囲の請求項に記載すべきものです。
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内容 |
①特許請求の範囲は、出願人が保護を求める範囲を明確にし、他人の立入り禁止区域を特定しています。特許を受けようとする発明を特定する典型的な手法は、物の発明ではその物の構造要素を、方法の発明では方法の手順要素を特定することです。そこで平成6年改正以前には、発明の要素の結合を“発明の構成”と称し、特許請求の範囲には“発明の構成に欠くことのできない事項のみ”を記載することを定めていました。
③しかしながら、特許出願の実務において、技術の進歩により技術的な思想を特定するためにさまざまの手法が試みられ、上記改正前でも例えば物質の発明の特定手段として物質の測定方法を用いることを以て発明が不明確であるとは言えないという判例(平成元年(行ケ)第50号)が出ていました。
そこで平成6年の改正により、“構成”の概念を条文上から削除し、特許出願人が発明を特定するために必要と認める事項を特許請求の範囲に記載することを定めました。
→機能的クレーム、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム
④逆に言えば、一の請求項から必ず発明が把握されることが必要であり、またそれを以て足りると解釈されます。 →発明特定事項として不適切な表現
⑤請求項の記載の一部が何故発明特定事項となっているのか分からないということは、発明の明確性の問題ではありません。→発明特定事項の技術的意味
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留意点 |
②で掲げた判例では、蛍光ランプの発明の要素である蛍光物質を測定方法で特定した事例に関して、発明特定事項である測定方法から蛍光物質を特定できても、逆に蛍光物質から測定方法を特定できない(一対一の対応関係にない)ことを以て発明が不明確であるかどうかが論点となりました。裁判所は、特許出願人が請求項の記載から発明が一義的に把握できる程度に発明を特定すればよく、逆の関係まで特定する義務がないと判断しました。
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