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317 特許出願の要件/拡大された先願の地位・要件 |
体系 |
実体法 |
用語 |
拡大された先願の地位の適用要件 |
意味 |
特許出願・実用新案登録出願の明細書・請求の範囲・図面の記載事項の全体について、後にした特許出願等を排除する地位を認める条件を説明します。
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内容 |
①特許出願の審査(新規性・進歩性など)は審査請求の順番に行われますが、同一の発明について複数の特許出願が競合したときの優先順位は出願日の順です。従って、後の特許出願に先に審査請求があっても、後の特許出願の審査が行われた後に、先の出願の審査により請求項の範囲が変動すると、後の出願の審査が無駄になってしまう可能性があります。従って、折角審査請求順に新規性・進歩性等の審査をすることにしても、結局、先の特許出願の審査が終わるまでに、後の出願の審査ができないことになりかねず、審査請求制度の意味が半減する可能性がありました。先の特許出願の明細書や図面のみに記載した発明でも出願公開等により公開されるので、後の特許出願について権利を付与するのは過保護ではないかという考え方もできます。そこで以下の条件のもとで拡大された先願の地位が認められました。
①特許出願(後願B)の日前にした他の特許出願・実用新案登録出願(先願A)が存在すること。
特許出願の日とは願書を庁に提出した日といいます。分割出願・変更出願の場合には原出願の日が該当します。 →拡大された先願の地位が認められる出願の範囲
②後願(B)の出願後に他の特許出願等(A)の出願公開等があったこと。
特許掲載公報又は実用新案掲載公報が発行されたときも同様です。 →拡大された先願の地位の公開条件
③他の特許出願等(A)の最初に添付した明細書・特許請求の範囲・図面に記載された発明と、後願(B)の請求項に記載した発明とが同一であること。
(イ)本規定のこの部分から、まず拡大された先願の地位の対象となる先願発明が存在しなければならない、という条件が導かれます。未完成発明は先願発明とは認められません。化学などの分野の特許出願では、先願発明は未完成であるという反論をよくみかけます。
→拡大された先願の地位の条件(先願発明の存在)
(ロ)また先行する特許出願の最初の開示事項に含まれる発明(先願発明)が後の特許出願の請求の範囲に記載された発明と同一であることを要します。
→拡大された先願の地位が認められる条件(先願発明との同一性)
(ハ)「最初に」より、後の補正により追加された事項に関しては拡大された先願の地位が認められません。
(ニ)他方、特許出願当初の明細書に発明イが記載されており、後に発明イを削除しても拡大された先願の地位の適用を免れることはできません。
→拡大された先願の地位が認められる書類の範囲
④他の特許出願等(A)の明細書・特許請求の範囲・図面に記載した発明をした者が、後願(B)の請求項に記載した発明をした者と同一でないこと。
→発明者同一による拡大された先願の地位の適用除外
⑤後願(B)の出願時に当該出願(B)と他の特許出願等(A)との出願人が同一の者でないこと。
→発明者同一による拡大された先願の地位の適用除外
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