体系 |
実体法 |
用語 |
発明の構成とは(その1) |
意味 |
発明の構成とは、発明の課題を解決するために講じられた手段であり、特許出願に係る発明の新規性や進歩性を議論する場合に論ずる際に実務的上でよく使用される概念です。
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内容 |
@発明は、自然法則を利用した技術的思想です。、当該法則を利用するために技術的要素A、B、C…を結び付けることで“発明が構成される”ということがあり、またそれら個々の要件を“構成要件”と、そして個々の構成要件を組み合わせたもの(構成要件だけでなく、構成要件同士の結び付き方を含む)を“発明の構成”と呼ぶことがあります。
{“発明の構成”の用例1}
「相違点の判断において引用発明2から援用すべきものは、移送ポンプの駆動モータを逆転制御回路に連設することによって移送ポンプを正転・逆転に切り換えられる吐出・吸引ポンプに構成するという、極めて基礎的な技術手段にすぎないから、両者の具体的な技術的課題(目的)が同一でないことは、引用発明
1に対する引用発明2の技術手段の適用が、当業者にとってきわめて容易であったことを否定する論拠にはならない。(参考:平8(行ケ)21)」(進歩性審査基準より)
A「自然法則」とは、一定の原因から一定の結果が生ずるものであると理解されています。この点に着目して“発明”の意味を、“構成”、“作用”、“効果”という概念を説明すると、
“発明の構成”とは、技術的手段であって一定の意図のために自然法則の利用を可能とする条件となるものであり、
“発明の作用”とは、発明の構成が行う働きであり、
“発明の効果”とは、発明の作用により生ずる有利な結果です。 →発明の効果とは
従って、単に発明の主たる技術要素が引用例に開示されているだけでは、新規性や進歩性を否定されず、一定の効果を生ずるような形で技術的要素が結びついていることが重要です。
単に偶発的に生じた構成は、新規性・進歩性を否定する根拠とならないことがあります。 →偶発的構成とは
{“発明の構成”の用例2}
「本願発明の効果は各構成の結合によりはじめてもたらされたものであり、かつ顕著なものであるから、本願発明は、その構成が公知であって各引用発明に記載されている技術とはいえ、これから容易に推考し得たものとはいえない。(参考:昭
44(行ケ)107)」
(進歩性審査基準より) →{発明の構成(その2)}
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留意点 |
発明の構成を吟味する作業は、発明の効果を発揮するための条件を見極める作業であり、この作業中に見出した条件は発明の本質的条件となります。例えば“ウェットティッシュ容器の取り出し口から取り出したティッシュがミシン目のところで切れる”という内容の発明の場合、ミシン目で切れるための条件を少なくとも明細書のどこかに記載することが、特許出願人にとって進歩性欠如の拒絶理由を回避するために非常に大切です。
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