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402 進歩性審査基準(特許出願の要件)/付加 |
体系 |
実体法 |
用語 |
発明特定事項の転用(進歩性判断のケーススタディ) |
意味 |
発明特定事項の転用とは、本来一定の用途(又は目的)に用いられていた事項(技術的な要素)を他の用途(又は目的)に使用することをいいます。
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内容 |
①特許出願の請求項に係る発明が、引用文献の技術を他の引用文献へ転用して引用発明に組み込むことで容易に達成できるときには、請求項に係る発明の進歩性は否定されます。
②異なる技術分野(隣接する技術分野)へ技術的要素を転用するときには、その転用を容易に想起させる程度の動機付け(技術的類似性など)があるかどうかで進歩性を判断するべきです。
{転用が容易と認められた事例}
③進歩性審査基準では、鋸刃を交換可能に挟持する替え刃式鋸の事例で、ナイフの発明(副引用例)からナイフ刃の挟持手段を鋸の発明に転用して進歩性を否定しました(平成7年(行ケ)第5号)。その根拠は次の通りです。
(イ)鋸刃の厚みは鋸刃の刃長さによって種々異なることは普通であること。
(ロ)替え刃式鋸において厚みの異なる鋸刃を交換して使用する技術的課題自体は、主引用発明に接した当業者であれば容易に予測できる。
(ハ)副引用発明の挟持手段はナイフ等の厚みが異なっても弾性により挟持力で挟持できることは明らかであり、その構造自体が種々の厚みの刃物に対応して挟持させる技術思想のもとに製作されていると認められる。
④さらに進歩性新基準では、パチンコゲーム機の打止解除装置をスロットマシンに転用するのは容易であるとして、特許出願に係る発明の進歩性を否定しています(平成8年(行ケ)第103号)。その根拠は、次の通りです。
(イ)同じ遊技ゲーム機である。(共通の上位概念の存在)。
(ロ)計数対象がパチンコ玉かメダルかという差異はあるもののその所定数を計数してスロットマシンを停止する打止装置を有するスロットマシンに転用することは、容易に着想し得るものである。
(ハ)技術の転用の容易性は、ある技術分野に属する当業者が技術開発を行うに当たり、技術的観点からみて類似する他の技術分野に属する技術を転用することを容易に着想することができるか否かの観点から判断されるべきである。
→発明特定事項の付加、発明特定事項の置換
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留意点 |
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