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447
進歩性審査基準/特許出願の要件(外国)/structure and function |
体系 |
実体法 |
用語 |
structure and function |
意味 |
Structure and
function(構造及び機能)は、米国特許出願の実務において非自明性(進歩性)を判断するときに技術の類似性を検討するときに考慮されます。
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内容 |
①特許出願の審査において、非自明性を判断するに先立って先行技術の範囲及び内容を決定することが必要であり(→グラハムテスト)、そのときに技術の類似性ということが問題となります。先行技術は類似の技術(→analogous artとは)から引用しなければならないからです。
②我国の進歩性審査基準に対応するMEPEは、技術の類似性及び相違点を検討するときに、structure and functionを考慮するべきであるとしています。
(イ)オフィシャル・サーチのレファランス及びクロスレファランスに示される、UPSTOの特許分類は、技術の非類似性・類似性に関するある程度の目安となる。
(ロ)しかしながら、裁判所は、むしろ、発明の“structure and function”に重きをおいて技術の類似性及び相違点を見い出そうとする傾向が強い。
(ハ)例えばIn re Ellis,
476 F.2d 1370, 1372においては、次のように判示している。
“一方文献の格子構造と他方文献の靴拭いとの構造的な類似性(structural similarity)及び機能的な重なり(functional overlap)は、異議の余地なく明白であり、それらは特許出願人の発明の属する技術分野と合理的に関連(reasonably pertinent)する。”
③MEPEによると、“structure and function”の概念は、2つの先行技術を結び付けることが可能かどうかの判断材料として用いられます。
「高圧ガストランスミッションコンプレッサー」事件(In re Deminski, 796 F.2d 442)では、“double-acting piston pump”の先行技術及び“double-acting piston compressor”の先行技術を引用して、
2つの技術はともに“動きのある流体を扱うダブル・アクティング・ピストン装置”である点で同一の“structure and function”(構造及び機能)を有するから、
同一の“field of endeavor”に属し、
従って両者を組み合わせて本件特許出願を拒絶した審決は妥当であるという判断を示しました。
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留意点 |
上記③に示された、2つの先行技術が同じ“structure and function”であることを根拠として発明の自明性を否定する論法は、日本の進歩性審査基準のうち下記の“作用・機能の共通性”により容易想到性の論理付けをする手法と類似しています。
“請求項に係る発明の発明特定事項と引用発明特定事項との間で、作用、機能が共通することや、引用発明特定事項どうしの作用、機能が共通することは、当業者が引用発明を適用したり結び付けたりして請求項に係る発明に導かれたことの有力な根拠となる。”
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