体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
特許出願中の権利 |
意義 |
特許出願は、独占排他権の付与請求の意思表示でありますが、それとともに特許出願人に対して一定の権利を生じます。以下、これらの権利について説明します。
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内容 |
@特許出願人の実体的権利
(a)補償金請求権
特許出願人は、第三者が出願公開された特許出願の請求の範囲に記載された発明を業として実施しているときに、警告を行うことを条件として、警告後特許権の設定登録前の実施に対して補償金を請求することができます。
→補償金請求権とは
(b)仮専用実施権の設定
特許出願人は、その特許を受ける権利に基づいて取得するべき特許権について、特許出願の明細書・請求の範囲・図面の記載の範囲において仮専用実施権を設定することができます。
特許出願の段階での独占的ライセンスを可能とするためであり、特許権の設定登録後に設定行為で定めた範囲で専用実施権(一定の範囲に一つだけ成立し得る用益物権的権利)が設定されたものとみなされます。
→仮専用実施権とは
(c)仮通常実施権の許諾
特許出願人は、その特許を受ける権利に基づいて取得するべき特許権について、特許出願の明細書・請求の範囲・図面の記載の範囲において仮通常実施権を許諾することができます。
特許出願の段階での非独占的ライセンスを可能とするためであり、特許権の設定登録後に設定行為で定めた範囲で通常実施権(一定の範囲に重ねて成立し得る債権的権利)が許諾されたものとみなされます。
→仮通常実施権とは
A特許出願人の手続的権利
(A)先願権
特許出願人は、その請求の範囲に記載された発明に関して、後願を排除する権利を有します(特許法第39条)。ダブルパテント排除のためです。
但し、特許出願が放棄され、取り下げられ、却下されたとき、或いは特許出願を拒絶するべき査定・審決が確定したときにはこの限りではありません。
(B)補正
特許出願人は、請求の範囲・明細書・図面について補正をすることができます(特許法第17条)。
先願主義の下では最初から特許出願の書面を完全に作成することが難しいからです。 →特許出願の補正
(C)国内優先権
特許出願人は、本人が先にした特許出願等に基づいて、優先権を主張することができます(特許法第41条)。すなわち、特許出願に係る発明の特許要件(新規性・進歩性など)、特許権の効力の制限(特許出願の時から日本国内にある物には特許権の効力が及ばない)、他人の特許発明等との関係などの規定に関して、先の特許出願等の日にしたものと見做されます。
一連の技術開発の成果を一つの特許出願にまとめるためです。 →国内優先権主張出願とは
(D)分割出願
特許出願人は、二以上の発明を包含する特許出願の一部を分割することができます。
複数の発明を別個に権利化するためです。 →分割出願とは
(E)変更出願
特許出願人は、当該特許出願を実用新案登録出願又は意匠登録出願に変更することができます。
特許出願の形式の誤りを救済するためです。
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留意点 |
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