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573 米国特許出願/限定請求 /単一性・分割出願 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
(米国特許出願における)限定請求 |
意味 |
限定請求(Reqirement for restriction)とは、米国特許出願が複数の発明の保護を求めるものであるときに、審査官が特許出願人に対して実体審査の対象である一つの発明を限定するように要求することです。
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内容 |
①米国特許出願の限定請求の意義
(a)一つの特許出願に含めることができる発明の範囲を無制限にすると、特許出願人としては、出願件数を減らすことができて有利ですが、特許庁側としては、一つの特許出願を処理するための費用・時間が膨大とあり、適当な範囲で出願手続をしている他の特許出願人との公平も損なうことになるので、不合理です。
(b)そこで特許出願の対象となる発明の範囲を規制する発明の単一性という概念が定められています。
(c)日本にも単一性の規定がありますが(→発明の単一性とは)、米国では一つの発明の概念が広いので、“発明が単一であること”は“一つの発明であること”を意味します。
(d)そして米国では、一発明の範囲を発明の種(spiece)と呼び、特許出願が複数の種を含むと審査官が認めるときには、審査を行うべき種を選択するように特許出願人に要求します。
→種(species)とは(特許出願の)
②米国特許出願の限定請求の内容
(a)例えば下の参考図のように、特許出願人が当初の出願書類において独立のクレーム1(実施例1~実施例3対応)の下で従属クレーム2(実施例1対応)・従属クレーム3(実施例2対応)・従属クレーム4(実施例3対応)を作ったとします。
(b)仮に審査官がクレーム2~3とクレーム4は別々の種だと判断したと判断したときには、特許出願人にどちらの種を審査するべきなのかを選べ、と要求するのです。
(c)また複数の種クレームが従属する属のクレームがあり、その属のクレームが許可されるべきかどうか不明である場合があります。
→属(genus)とは(特許出願の)
(d)審査官は、こうした場合に、属のクレームが許可されない場合に備えて、属のクレームの下位の複数の種クレームの一方を選択するように要求することがあります。
→選択請求とは
③米国特許出願の限定請求の時期
限定請求は、通常、特許出願の審査の初期に、すなわち新規性や進歩性の審査に着手する前に行われます。
④米国特許出願の限定請求への対応
(a)特許出願人は、審査官の限定請求に対応していずれかの種を選択しなければなりません。
(b)特許出願人は、審査官の限定請求に対して不満があるときには、再考慮(traverse)を求めることができますが、その場合でも何れかの種を選択しなければなりません。
⑤米国特許出願の限定請求に応じて種を選択したことの効果
(a)特許出願人が選択しなかった種(下図の例ではクレーム5-実施例3)は審査からwithdrawnされたものと扱われ、以後は審査の対象から外れます。
(b)この種に関しては分割出願をして別個に保護を求めることができます。 →Divisional Applicationとは(分割出願)
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