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@証拠能力の意義
(a)裁判では、当事者が自白した事実や裁判所において顕著な事実を除いて、事実を証拠により証明しなければなりません。
(b)法律用語としての“証拠”は、証拠方法、証拠資料、証拠原因という異なった意味を含み、このうちで証拠方法は、事実を認識するための資料をもたらす有形物(証人を含む)です。→証拠とは
(c)ところが“事実を認識するための資料”として裁判所に提出することができないものがあります。例えば刑事訴訟法では、伝聞証拠の証拠能力を否定する伝聞証拠禁止の原則があります。いわゆる“また聞き”で人を有罪にする訳にはいかないからです。
(d)このように証拠方法として裁判所に審理してもらえるための条件・資格を、“証拠能力”といいます。証拠能力のない人や物についてはそもそも取り調べることができません。
これに対して証拠方法を取り調べた結果としてどの程度信頼できるかを表す概念として証明力があります(→証明力とは)。
A証拠能力の内容
(a)民事訴訟法においては、証拠方法の証拠能力は原則として無制限に認められるといわれています。例えば自分で書いたメモなどでも構いません。
→証拠能力の範囲とは
(b)特許出願の新規性や進歩性を否定する根拠としてよく用いられるのは刊行物ですが、刊行物には手書きの文書は含まれません。公開として複製された文書・写真等の情報伝達手段でなければならないからです。
→刊行物とは
(c)しかしながら手書きの文書も新規性・進歩性の欠如の証拠にはなり得るのです。
(d)例えば大学の教授が自分の講義で未公開の技術を秘密保持義務のない一般の学生に話したとします。大学の教授が“○月○日に当該技術のことを学生に話した。”旨を証言すれば、当該技術が公知となったことの証拠となります。
しかしながら、裁判所は、人の記憶は曖昧だから証言の細部(例えば日付けなど)には間違いがあるかもしれないと考えるかも知れません。これは証明力の問題です。
その講義を受けた学生の受講ノートの○月○日の欄に当該技術を聴いたことが手書きされていれば、証拠内容同士が合致しているからより信頼できると考えるでしょう。
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