体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
称呼類似 |
意味 |
称呼類似とは、取引の経験則上で商品又は役務(以下「商品等」という)の混同を生ずるおそれがあると認められる程度に、対比する2つの商標の称呼が相紛らわしいことをいいます。
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内容 |
@称呼類似の意義
商標の構成の一つとして文字があり、特に文字商標(文字により構成される商標)は、(主として文字
商標は、商品や役務の提供の用に供する物に付されたり、パンフレットなどに広告的に使用されると、自然に一定の呼び名で称呼されることが良くあります。文字商標、文字と図形との結合商標の場合には、もちろんのこと、図形商標であってもその構成上から一定の称呼が生ずることがあります。商標が出所表示機能を営むためには、商標の称呼が需要者に記憶されることが非常に有利であり、このことから、称呼類似が商標の類似の態様の一つとして挙げられるようになりました。
特にセールスマンの口頭での説明(店頭販売での口上)、ラジオ・テレビでの音声による宣伝などにより、称呼類似の重要度が向上しており、現在では商標の類似の3態様のうちでは最も重要視されているとも言われます。
→商標の類似とは
A称呼類似の具体例
(イ)称呼類似の例としては、例えば「太陽」と「太洋」とが該当します。
(ロ)本来、呼び名のない図形商標も使用により称呼が自然発生することがあります。例えば正三角形を、3つの頂点に外接する円で囲んでなる図形に関して、三角形の部分を魚の鱗に見立てて「ウロコ印」と呼ぶ例などがあります(→武田製薬のウロコ印)。
B称呼の意義
(イ)称呼は、商標の構成から取引界において自然に発生したものをいいます。 →商標の称呼とは
(ロ)判例によれば、称呼は、通常商標の構成により最も呼び易いものが選ばれるのが通常であるとされています(昭和4年(オ)2036号)。
(ハ)商標が複数の要素からなる場合には、商標の自然的な要素は商標の重要な部分から流れ出るのが原則であるとされています(昭和6年(オ)745号)。
例えば氷山事件では氷山の図形と「氷山印」という文字からなる結合商標から「ヒョウザン」という称呼が認定されました。
(ニ)図形と文字との観念的な組み合わせから称呼が発生する場合もあります。 →称呼類似のケーススタディ2(図形・文字の組み合わせから派生する称呼)
C称呼と外観・観念との関係
称呼、外観、観念は、それぞれ完全に独立して判断するものではなく、称呼が在る程度近似しているが、外観・観念が著しく異なるという場合には、全体として非類似とされる可能性があります。商標の類否判断では、外観、観念、称呼等によつて取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきだからです。
→称呼類似のケーススタディ1(外観・観念との関係性)
D称呼類似の判断
(a)比較的に長い商標同士であって、相違点が一文字であり、その一文字が母音共通又は子音共通である場合には、称呼類似と判断される可能性が高いとされています。
→称呼類似の判断手法 (b)商標が分離観察されるか否かは商標の類否判断に影響します。 →商標の類似のケーススタディ(長い商標の称呼類似)
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留意点 |
→商標の類似とは
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