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436
進歩性審査基準/特許出願の要件(外国)/analogous art |
体系 |
実体法 |
用語 |
analogous art |
意味 |
analogous art(類似の技術)とは、米国特許出願の非自明性(進歩性)の解釈に用いられる概念であって、既存の技術が特許出願の先行技術として扱われる程度に技術的な観点から類似していること、という程度の意味です。
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内容 |
①アメリカの特許法では、(特許出願に係る)発明が新規性を備えていても、保護を求める発明の主題(subject matter)と先行技術との相違が、当該主題が関係(pertains)する技術の分野において通常の知識を有する者にとって、特許出願の時点(※)において全体として自明であるならば、特許を受けることができない、と定めています。
“A patent may not be obtained though the invention is not identically disclosed or described as set forth in section 102 of this title, if the differences between the subject matter sought to be patented and the prior art are such that the subject matter as a whole would have been obvious at the time the invention was made to a person having ordinary skill in the art to which said subject matter pertains. Patentability shall not be negatived by the manner in which the invention was made.”
(※…先発明主義の適用がある場合には発明時)
②従って、“先行技術”とは何か、“関連する”とはどういうことであるのかが非自明性の判断において重要となってきます。
③日本の進歩性審査基準に相当するMEPE(Manual of Patent Examining)においては、次のように述べています。
米国特許法第103条に関して自明性の根拠として引用文献を正しく用いるためには、その文献は請求項の発明と類似の技術(analogous art)のものでなければならない。
“In order for a reference to be proper for use in an obviousness rejection under 35 U.S.C. 103 , the reference must be analogous art to the claimed invention. In re Bigio, 381 F.3d 1320, 1325, 72 USPQ2d 1209, 1212 (Fed. Cir. 2004).” →analogous artの意義
④さらにMEPEでは次のように述べています。
“文献が次の何れかに該当するときには、請求項の発明と類似の技術である。”
(1)当該文献が請求項の発明と同じ試みの範囲(field of endeavor)にあるとき。 →field of endeavorとは
(2)当該文献が、発明者が直面した問題と合理的に関連するものであるとき。 →pertinent artとは
“Rather, a reference is analogous art to the claimed invention if:
(1) the reference is from the same field of endeavor as the claimed invention (even if it addresses a different problem); or
(2) the reference is
reasonably pertinent to the problem faced by the inventor (even if it is not in the same field of endeavor as the claimed invention).
See Bigio, 381 F.3d at 1325, 72 USPQ2d at 1212.” →non-analogous artとは
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留意点 |
我国の進歩性審査基準の本文では“類似の技術”という概念は採用されていません。しかしながら、進歩性審査基準に引用された判決例ではそれに近い概念があります(技術分野の共通性の欄)。
「技術の転用の容易性は、ある技術分野に属する当業者が技術開発を行うに当たり、技術的観点からみて類似する他の技術分野に属する技術を転用することを容易に着想することができるか否かの観点から判断されるべきところ、この観点からは、パチンコゲーム機の技術をスロットマシンの技術に転用することは容易に着想できることと認められる。(参考:平8(行ケ)103)」
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