体系 |
実体法 |
用語 |
analogous artの意義 |
意味 |
analogous artとは、米国特許出願の非自明性の実務においてMEPE(日本の進歩性審査基準に相当するもの)が先行技術の範囲を技術の類似性の観点から決定するために用いる用語です。
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内容 |
①米国特許法では、“特許が求められている発明の主題と先行技術との差異が特許出願の時点で当該主題の関係する技術分野(the art to which the subject matter pertains)で通常のスキルを有する者(当業者)にとってその主題全体として(subject matter as a whole)自明なものである場合には、たとえその発明が102条(新規性の規定)に該当しなくても特許を受けることができない。”と定めています。従って関係する技術分野とはどの範囲かということが問題となります。
②技術分野というと、例えば産業分類のようなものを思い浮かべるかも知れません。しかしながら、これで発明の非容易性を判断しようとすると、範囲が大雑把で広過ぎるのです。経済的な側面からの分類という意味合いが強いからです。
③そこでMEPEでは、
(イ)analogous artという概念を導入して、非容易性(進歩性)に関して文献を引用するときには、analogous artでなければならない、
(ロ)特許出願人(発明者)が創作をしようと試みた範囲(field of endeavor)でなくても、発明者が直面している問題と合理的に関連(pertinent)しているときには、analogous artとして認める、
という判断を示しています。 →two step test とは(analogous art)
④判例でいうと、特許出願の請求項に記載した発明と引用文献とが同じ業種(石油業界)にあるというだけでは発明者の試みの範囲ではないし、引用文献は不定形の空間(岩盤の隙間)から石油を回収するものであり、定形的な空間(石油タンク)内のデッド体積からの貯蔵物質のロスを減らすという本件特許出願の課題に寄与しないから、合理的に関連する技術でもないと判示された事例があります(→966 F. 2d 656 In re Carl D. Clay)。
⑤換言すれば、こうした先行例の引用適格を否定するために技術の類似という概念を導入しているのです。業種の概念とと
→analogous artとは
⑥MEPEは、具体的には、技術の類似は構造及び機能(→structure and functionとは)に見い出されるとしています。
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留意点 |
日本の進歩性審査基準では、阻害要因の関係で引用文献の適格性という用語を使用していますが、引用文献の適格性を定義するには至っていないようです。
しかしながら、進歩性審査基準では、発明の構成に至るための動機付けという形で、技術分野の共通性、課題の共通性、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆を挙げています。従ってMEPEで先行技術の範囲として挙げられたField
of endeavorの範囲及びArt pertinent to the problem)の範囲には対応しています。
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