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779 要件事実/特許出願/進歩性/特許侵害 |
体系 |
実体法 |
用語 |
要件事実 |
意味 |
要件事実とは、ある法律の要件に該当する具体的事実をいいます。
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内容 |
@要件事実の意義
(a)ある法律の適用要件となる事実を要件事実といいます。
特許侵害の問題であれば“特許権者以外の者が業として特許発明を実施したとき”には、正当な理由がない限り、特許侵害が成立します(特許法第68条)。
例えば物の特許発明の場合に、競争者の製品が発明品そのものであること、方法の特許発明である場合に、その発明の実施が行われたことに関する関係者の証言は、特許侵害の要件事実の証拠となります。
(b)これに対して、“要件事実”が存在することを間接的に推認させる事実を、間接事実といいます。 →間接事実とは
A要件事実の内容
(a)要件事実は、意思表示などの人の精神作用を要素とするものを含みます。 →要件事実の種類
(b)また要件事実は、裁判を提起する側の権利の者の権利の存在を示す事実(→請求原因事実)と、裁判を受けて立つ側が抗弁に用いる事実(→抗弁事実)とに分類できます。
(c)実体法の法規の要件には、規範的な評価に関する抽象的な概念に関するものがあります。こうした要件に関する要件事実を、規範的要件ということがあります。
例えば民法709条(損害賠償請求)の“故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。”の「過失」のようにです。
これに類するものとして、特許法では、同法第29条第2項(進歩性)の“特許出願の日前の公知・公用・文献公知の発明から容易に発明することができた”の「容易に」という要件があります。
→進歩性の要件事実
進歩性の判断は、発明の技術的価値に関する評価であり、特許出願人は高く、審査官は低く評価する傾向があります(発明の課題と解決手段とを同時に見ることになるため)。後知恵を排除して客観的に評価する必要があります。
(d)具体的な実体法規の何が要件であるかを考えることを要件事実論といいます。 →要件事実論とは
B講学上の概念
要件事実は、民事訴訟学上の“主要事実”とよく似た概念です。 →主要事実とは
C外国での隣接概念
欧米法では、要件事実に関連する概念として“主要事実”があります。 →Uultimate fact(主要事実)とは
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留意点 |
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